スターリングラード
Stalingrad

製作国 ドイツ/アメリカ
製作年 1993年
公開年 1993年
時間 138分

時代背景 WW2 独ソ戦


製作会社 ロイヤルフィルム
監督 ヨゼフ・フィルスマイヤー
脚本 ヨハネス・ハイデ
ユルゲン・ブッシャー
ヨゼフ・フィルスマイヤー
撮影 ヨゼフ・フィルスマイヤー
音楽 ノルベルト・ユルゲン・シュナイダー
出演 トーマス・クレシュマン
ドミニク・ホルヴィッツ
ヨッヘン・ニッケル
カレル・ヘルマネック
ダーナ・ヴァブロヴァ
セバスチャン・ルドルフ
マルティン・ベンラート

[概要]
ドイツ軍のソ連侵攻の激戦地となったスターリングラードを舞台に、ドイツ軍の若い兵士たちの姿を描く。

[映画賞]

[ソフト化]
ビデオ・LD

[Goods]
チラシ


スターリングラード O.S.T 2,718円
ノルベルト・ユルゲン・シュナイダー
ユニバーサルミュージック





レビュー人数
6人
平均点
7点
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Unteroffizier
8点
独ソ戦の転回点といわれるスターリングラード攻防戦を要素を取り出して短くまとめた佳作。
ドイツ軍突撃工兵隊の一少尉の視点で、最前線の兵士の不幸な運命をうまく描き出しています。
市民まで巻き込む情け容赦ない市街戦、過酷なロシアの冬、捕虜の虐待、下水道を利用した移動、最前線兵士の憲兵隊への感情など、うまく要素を取り込んでいます。そして何より、ドイツ人が演じているので、米国人や英国人と違い、違和感がないのがいいですし、市街戦でKar98kを持つ兵士が、捕獲した敵のPPsh41を使っているのも好感が持てます。突撃工兵隊が主人公の映画もあまりないので貴重ですし、懲罰部隊の様子とか将校は最前線では兵士と同じラシャ地の戦闘服を使うとか、最前線では補充兵を送らないドイツ軍のシステムをうまく描いており、さすがはドイツ映画といった感じです。
前半は他の映画の影響が見られます。「プラトーン」「フルメタルジャケット」や「戦争のはらわた」です。影響を受けるのはいいのですが、はっきりとそれとわかるのは、ちょっと残念です。
また、いろいろな要素を取り込もうと、いろいろな人間との関係が描かれていますが、描き方が中途半端だと思います。ヴィッツラント少尉を軸に、新米少尉を軽くみようとするヴェテラン兵士ロールダー(ロロ)、敵との交流ということで描かれるロシア少年兵、女ロシア兵との関係、中隊長ムスク大尉と過去いかにも何かあったように登場するオットーとの関係など、前ふりは登場するものの結局最後までうまく描かれることなく消化不良の感があります。人間関係ももう少し整理してもっと突っ込んだ描き方をした方がよかったのでは感じます。
 あと細かいところでは、冒頭の集合シーンで、突撃工兵隊の兵士に様々な兵科色の兵士が混じっていたこと、市街戦の突撃シーンであまりにも密集してリアルさにかけたり、戦車迎撃シーンのたこつぼの配置や戦車の登場の仕方に不満はありますが、些細な問題とも言えます。
 もう1点、映画公開時の字幕は多少頭を傾げるところがあったのもちょっと残念でした。ビデオの方は修正してありました。
 私はこの映画のテーマは「戦争とは人間を人間扱いしないもの」ととらえており、これはうまく描かれていると思います。冒頭、貨車で前線に運ばれる主人公たち、道端に寝かされたままので負傷兵なんていうのは序の口で、同士討ちで良心の呵責にさいなまれる新兵に対してそれを全く意に介さないヴェテラン兵士、自分の部下の死を仕方のない犠牲と割り切ってしまう上官、捕虜の虐待とそれを当然と思う雰囲気、人間を踏みつぶしていく容赦なく敵の戦車、自分が生き残るために市民を銃殺する主人公たち、戦場という環境で家族との絆を失う兵士、子供さえも戦争に利用してしまう状況など、正義感や生きていく意味さえもなど軽く吹っ飛んでしまう最前線の非情さと、死があまりにも身近にあるために無関心になってしまう様がわかりやすく描かれています。見終わった時はただ重苦しく、救いようのない雰囲気で締めくくられます。この雰囲気こそがこの映画の戦争に対するスタンスだと言えるでしょう。
 最近の戦争映画のトレンドとも言うべき残虐なシーンも適度に使われており、このバランスはよいと思います。
 人間関係などもう少し工夫が欲しいと思うのですが、映画全体をみれば、まずまずまとまっていると言えます。雰囲気は良くでているのではないでしょうか。内容自体の評価は7点ですが、ドイツ軍の様子をうまく描いていること、戦争に対する真摯な視点、なによりあまり例のないドイツ軍突撃工兵隊を描いているという点でプラス1点、合計8点です。
 当初、東京で2週間しか上映されないということで、観ることを諦めていましたが、ことのほか好評だったようで、東京では1週間延長になり、結局福岡でも上映されました。でもこのような映画がなかなか地方で上映されないのはとても残念に思います。戦争映画の地位向上のために皆さんがんばりましょう。

hidetomo
8点
冒頭のイタリアのシーン。黄金色の太陽のもと、ワインを飲みながら女の子達と浜辺で戯れる。まさにパラダイス。しかしパラダイスを経験した後に経験する地獄はどれほど辛いものか。
転属で送られたのはスターリングラード。一つの建物、下水道をも取り合う市街戦の地獄。前線の経験が無かった主人公の少尉。最初は理想に燃えているが、人間を人間として扱わない戦争の極限状況において、打ちのめされる。彼はあまりに繊細なで、まっとうな神経の持ち主だったから。見方を誤射で殺してしまった若年兵を、ベテランの伍長が励ます。耳をつまんで、お前も心のスイッチを切り替えるんだと。でもその彼さえ、最後まで兵士としての義務を全うすることは出来ない。遠く離れた故国では、ヒトラーが大観衆を前に演説している。そのラジオ放送を廃墟の中で聞くドイツ兵たち。いつの時代も、戦争で割を食うのは、前線の兵士たち。
ソ連軍に包囲された絶望的状況。極寒の中、手足の感覚は無くなり、思考能力が低下する。凍傷で歩けないのに前線で戦おうとする大尉。将校としての義務や部下を見捨ててまでも、脱出しようとする少尉。絶望的な状況下における人間模様。ドイツ軍の兵士である彼らもある意味では戦争の被害者なのだ。
今世紀最大の悲劇だった第二次世界大戦でも、最も多くの犠牲者を出した独ソ戦の一断面を、この映画は救いようの無い暗さを持って描き出している。見終わった後とても気が重くなる映画だが、それが飾りの無い戦争の現実だろう。自責の念に刈られながら民間人を処刑するシーン、ロシア人少年の訴えかけるような瞳と、降り続ける雪の美しさが強く印象に残った。

赤男爵
8点
スターリングラードとはドイツ第6軍33万人がソ連軍に包囲され極寒の中、飢えと病に苦しむ残存兵力9万余が捕虜となったが、戦後国に戻ることができたのは6000名という正に悲劇の舞台となったこの世の地獄のような都市である。スターリングラード攻防については古くはJハンゼン主演で「Hunde wollt ihr ewig Leben?(邦題:最後の戦線)」をはじめいくつかドイツ映画があるが、本作はその最終形、集大成といっても過言ではない。ただし内容としては歴史事実そのものなので、どうしても盛り上がりに欠けるし暗い話になるのは仕方がない。本作はその悲惨な戦闘の推移を、任官したばかり(多分)のまだ色に染まっていないヴィッツランド少尉の補充部隊を通して描いたもの。前半から中盤にかけてはかなり力の入った戦闘シーンで見ごたえあり。アメリカ映画が描くドイツ軍とは全然違って強いことこの上なし。特に隻腕のムスク大尉、「Mir nach!(俺に続け)」先頭に立って闘うドイツ将校のカガミ。それに比べると少尉さんはボンボン育ちの割に正義感が強すぎ、そのうえ部下を大事にしすぎるもんだからかえって部下を危険に晒してしまう。後半はすでに軍隊として機能していない敗残兵の悲惨な物語。独ソのハーフでモスクワ大学でドイツ文学専攻という設定の女兵士イリーナや超陰険だったハラー大尉が実は物資(彼女も含め)をシコタマ隠匿している悪徳将校だったというのは少々脚色過剰の感あり。この二人も死に、ヴィッツランド少尉は自殺、そして残った兵士も雪の中でそのまま凍死という陰惨な結末で終わる。破滅願望をドイツ耽美主義で描いた映画といっていいのかどうか。どうもドイツの戦争映画は真面目過ぎて肩が凝る。
印象に残ったシーンをふたつ。
懲罰部隊から復帰し、忠誠を証明させるためにロシア人を銃殺するシーン。画面から凍りついたような冷気とわずかな風に舞いながら流されていく雪の感触が伝わって来る。
ピトムニク飛行場から夜の闇に向かって最後のJu52輸送機が滑走し始めるシーン。正に最後の希望に群がる傷病兵の気持ちになってしまうほどで思わず取り残されたくない、と念じてしまいそうになる。でもこれってふたつとも悪夢だね。評価は8点、ちょっと高すぎかな?

Densuke
7点
COIの次回レビュー作品が「スターリングラード」と言うアナウンスを見た時、偶然にも「スターリングラード」のDVDをamazon.comに注文していた。

上映時間はCOIには138分と出ているが、DVDでは150分。 観たら実際150分あった。
日本公開版はカットされたシーンがあるのだろうか。

ドイツ映画、主役はドイツ兵。 舞台は東部戦線。 題名は「スターリングラード」。
観る前から内容が想像できる映画だ。
みんなドイツ語を話す。 当たり前だ。 DVDには英語音声も収録されている。
でもドイツ兵はドイツ語じゃないとしっくりこない。
ロシア人の銃殺を命じるシーンで英語をしゃべったらやはり様にならない。

1993年の作品という事で映像は良く取れている。 極寒の雰囲気も良い。 しかし演出にあまり新鮮味がない。
少しでも当時の歴史を知る者からすれば「スターリングラード」と言う題名から大体内容は想像がつくし実際想像した通り、悲惨な話だ。 が、その悲惨さになかなか感情移入出来ないもどかしさがこの映画にはある。
ドイツ兵が如何に苛酷な環境で戦いそして希望つたなく死んでいったのか。
またドイツ兵もロシア兵もどちらも人間、戦場で鬼になる事もあれば戦友の為に泣く事もあると言う事を描いて、個々のエピソードには良い物があるのだがどうもありきたりの展開だ。
同じありきたりでもスピルバーグ監督の「プライベートライアン」の様に徹底してくれれば良いのだが。
ドイツ軍の戦車が1両も登場しないのも物足りなさを感じる要因の一つだが考証そのものはしっかりしているようだ。

全体的にドイツ人の気質から来る物か、敗戦国である為か、堅苦しさは否めない。
しかしドイツ人が作った映画なのでドイツ兵を故意に非人間的に描くような作為はないので安心してみられる。 (この点はスピルバーグ作品には期待できない。)

点数は7点、ドイツ戦車の欠如、各エピソードの凡庸性、平板な演出でそれぞれ1点ずつ減点した。
しかし裏を返せばそれ以外は欠点ではないと言う事。
洗練さに欠ける演出もそのまじめさも内容に合っているし、ドイツ兵の軍装も不自然さはない。 また寒さの描写も良く出来ている。

見終わった後、重い気持ちになるが、この映画のテーマからして当然だろう。
ハリウッド映画の様にそつ無くまとまってはいないがいかにもドイツらしいまじめ一筋のごりごりした演出のこの映画、戦争映画ファンなら観て損はない。

POLKOVNIK
7点
統一国家となったドイツの映画界が、スロヴァキアと別れたチェコで大規模なロケを行った戦争映画の大作。アイルランドでロケされ、独ソ両軍が英語をしゃべる作品より、主題に忠実である。Das Bootのプロダクションが製作したせいか、冒頭が西欧におけるドイツ軍人の慰安シーンで、それが一気に戦場の修羅場に一変するパターンが同じである。当作品がDas Bootに及ばないのは、前半にはかなり盛大な戦闘シーンだったのが、後半で上手くない人道主義が入ってしまい、非常に湿った印象になっている。確かにドイツ人は西欧に対する劣等感の裏返しに、東欧に対して傲慢で無神経な態度をとってきて、その最たる行為は第二次世界大戦中にスラヴ諸民族を奴隷にしようとしたナチスの東方殖民政策だった。戦後ドイツ人は過去を悔いているのは分かるが、戦争映画にこの種の人道主義を注入すると、とたんにつまらなくなる。戦争末期そして戦後にドイツ東部を掠奪してドイツ人に復讐して、ドイツを真っ二つにして、スターリン主義を押し付けてきたのはソ連のはずだ。「ワイルド・ギース」みたいにしろとは言わないが、無用な「宋襄の仁」は避けたい。後半に主人公たちは非人道的な軍隊を嫌って、反逆兵になるが、この当時そんなになれる状況であったかな?ロシア人の少年への同情も偽善的に見える。ソ連軍のT34と戦うシーンは、まるでソ連映画の「スターリングラード大攻防戦」(原作は熱い雪 Gorkii sniegというスターリン時代の英雄小説)みたいで、なかなか迫力があったが、ドイツ兵が手袋もしないで戦っているのがおかしい。冬のロシアでは、手袋は耳覆いのついた帽子同様必需品だ。ここでチェコ・ロケをしているのが分かってしまう。最後に敵と戦うより、ゴキブリのような上官を射殺してしまうのは、「橋」のようで、自虐的な感じさえする。ついでに一言言わしてもらえば、ロシア人役のチェコ人俳優たちのロシア語が下手だ。
ドイツ兵役の一部にチェコ人俳優がなっているが、彼等のドイツ語の方が板についていて上手だ。ワンパターンな冒頭と偽善的な後半で7点。

ライスワーク
4点
この映画は、有楽町のスバル座で鑑賞しました。
そのときの映画館の宣伝文句が印象に残っています。
正確な文言は覚えていませんが、大意としては、「映画の出来はともかく、見ておくだけの価値はある」といったものでした。私の感想も、その宣伝文句と同様です。
まず、映画そのものという観点から言うと私の場合、以下のような点があげられます。

1)ドラマの展開が単線的
2)登場人物のバランスはとれているが、人物描写に深みが足りない
3)高揚感や、カタルシスに欠ける

比較的新しい時代の映画にも関わらず、スタイルとしては古色蒼然としていて、歯がゆく思えました。もちろん、日本同様敗戦国として表現の制約などもあるのでしょうが、それにしてもです。
しかしながら、東部戦線の描写そのものには括目に値するものがありました。
私の場合、以下のような点があげられます。

1)いかにも東部戦線のイメージに相応しい極寒の描写
2)比較的正確な考証
3)飛行場における極限状態の描写

ただし、興行上の理由以外、スターリングラード攻防戦をモチーフにする必然性をあまり感じることはできませんでした。
結論からいうと、凡作の域を出ないものかと思われます。
こう言いきってしまうと、スターリングラード攻防戦の英霊に申し訳ないという脈絡がありそうで実は全くない感情が出てきてしまうのは否めませんが、仮にこの映画の題名が「ロシアに降る雪」なんて言う感傷的なタイトルであったら、一蹴されていたであろうと思われます。