Uボート
Das Boot

製作国 西ドイツ
製作年 1981年
公開年 1982年
時間 135分

時代背景 WW2


製作会社 バヴァリア・アトリエ/ラディアント・フィルム
監督 ウォルフガング・ペータゼン
原作 ロタール・ギュンター・ブッフハイム
脚本色 ウォルフガング・ペータゼン
撮影 ヨスト・ヴァカーノ
音楽 クラウス・ドルディンガー
出演 ユルゲン・プロホノフ
ヘルベルト・グリューネマイヤー
クラウス・ヴェンネマン
マルティン・ゼメルロッゲ
べルント・タウバー
マルティン・マイ
エルウィン・レーダー
クロード・オリヴァー・ルドルフ

[概要]
第2次大戦を舞台にドイツ軍潜水艦U-96の乗組員たちの過酷な戦いを描く。元は5時間のTVミニシリーズ。1999年に「ディレクターズ・カット版」が公開。

[映画賞]

[ソフト化]
ビデオ・LD

[Goods]
チラシ

cover 5,300円
Uボート ディレクターズ・カット
PIBF-7050
日本ヘラルド/パイオニアLDC
(1999/11/26)

 2,330円
Uボート

クラウス・ドルディンガー
ワーナーミュージック・ジャパン

Uボート 上 760円
著者:ロタール・ギュンター・ブッフハイム
翻訳:松谷 健二
早川書房(ハヤカワ文庫NV)

Uボート 下 760円
著者:ロタール・ギュンター・ブッフハイム
翻訳:松谷 健二
早川書房(ハヤカワ文庫NV)

Uボート 2,000円
著者:ロタール・ギュンター・ブッフハイム
翻訳:松谷 健二
早川書房




レビュー人数
14人
平均点
9.4点
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Unteroffizier
10点
この映画、私にとって海軍をテーマにした中では最高傑作と思っております。Uボート乗組員の視点にたって、戦争という極限状態の中、Uボートという閉鎖空間のなかで必死に生きていこうする姿を地道に描いています。彼らを英雄視(または美化)するわけでなく、また殺人鬼として描くわけでもなく、客観的に淡々と描いている姿勢に共感を覚えます。、普通の生活シーン(食事のシーンや家族の写真を見ていたり、猥談で盛り上がったり)は戦争で戦っている人間も普通の人間なんだと言うことを感じさせてくれます。戦闘シーンにおいても、決して格好よく描いているわけではなく、極限状態で発狂寸前になる兵士が出たり、敵の兵士を海の真ん中で見捨てたり(Uボートにスペースがなく、収容すると自分たちの生存が危ぶまれるため)、爆雷攻撃にうずくまったりと、神に祈ったりと不格好ではあるが、とても人間くさく描かれています。そのため観ていて自分も乗組員になったような気がしてしまいます。彼らの生き抜こうとする姿(特にジブラルタル海峡に沈んだシーン)はたとえ不格好でも私自身は格好良く感じてしまいました。艦が窮地にたつと艦長は報告を聞き、意見を承認するだけで、技術屋のトップたる機関長が主導権を握ると言うシチュエーションは今まで描かれていなかったと思います(私が見たことがないだけかもしれませんが)。そして彼らの死に直面したとき戦争は殺し合いなんだということを認識させてくれます。強くメッセージを出すのではなく、その状況を克明に描き出すことで、我々に考える機会を与えてくれるそんな映画だと感じております。私自身とても好きな映画でこれといった欠点を感じておりません。ドイツらしいカッチリとした作りで好感が持てますので、満点の10点をつけさせていただきます。

余談ですが、最近までこの映画について不可解な点が二つありました。ひとつは艦長をなんと呼んでいるのか、となぜ機関長が副長をさておき、No2的な位置にいるのかです。ひとつ目の疑問はHerr Kaleunt(ヘル・カロイント)…Herr Kaptainleutnant(海軍大尉)の略ということが判明しました。二つ目についても機関長は潜水士官を兼ねるということで、謎が解けました。確かに機関長が指示を出すシーンは潜水中のシーンばかりでした。
また昨年、5時間半におよぶ完全版が出されました。艦内の人間関係がより深く描写されおり、作品をより深いものに(より原作に近い雰囲気になっており)しております。ぜひご覧になることをおすすめします。

NANA
10点
ストーリー5点 演技3点 考証2点

閉塞された空間での人間模様。勝てないとわかっていても出撃しなければならない苦悩。そして、優秀な指揮官を100%信頼する部下達。従軍記者が見たUボートという作風は、私たちをその世界に導入する手法としてはみごとです。
考証はただしく、当時のUボートとブンカー(Uボート基地)の有様を正確に伝えています。休暇上陸の際の荒くれぶり、恋人に手紙を書く若い乗組員の描写。濡れ鼠の乗組員達に栄誉を持って敬礼するきれいな服の陸上勤務者達。演出は巧みです。

戦闘シーンは、魚雷発射までの勇壮な展開と撃沈された艦船の悲壮な描写が相まって、一種異様な雰囲気を醸し出します。おぼれる輸送船乗組員を見捨てて、後退するUボートは、言葉少なに、その苦悩を表現しています。

駆逐艦との追撃戦では、爆雷の恐ろしさ、逃げ場のない潜水艦の悲惨さを痛感させ、見ているこちらが窒息しそうです。

無名の俳優達を使い、いさましい見せ場もなく、「個人」を埋もれさせていますが、それがかえって臨場感を作りだしており文句のつけようのない傑作です。

祥優
10点
最後で涙がとまりませんでした。何で?何で?と問い掛けてしまいましたあんなに苦労して、必死の思いで生還したのに・・作品の感想って、それに尽きました。・・感動する映画は好きだけど、泣いてしまうなあ。独軍の海軍って、日本海軍と違って、Uボート部隊や戦艦部隊(ポケット戦艦でしたっけ?)通商破壊作戦が多いんですよね。で、多大な戦果を挙げたけど、大戦中期頃から大分やられるようになったとか・・その、独軍の潜水艦乗り魂が、力強く感じられました。(はい、おこがましいですけど)最初の酒場のシーンとかが陽気なだけに、いざ出撃すると必死なんですよね・・。潜水艦の内部のシーンは、とってもスピーディーで、見入ってしまいました。せまいんですね。でも迫力。 それと、何て息が詰まるんでしょう。私も一緒になって、息を詰めてしまいました。苦しいですよね。それに、いつつぶれるか判んない状況で・・そんな劣悪な環境のなか、指揮する艦長って、やっぱりすごい。というより、乗員全員がすごいんです友人の友人が自衛隊の潜水艦に乗ってたとかで、「沈黙の艦隊」でしたっけ、すごい潜水艦の漫画がありましたけど、その友人に聞いた所、やっぱ「Uボート」は潜水艦乗りは必見の映画だと申しておりました。で、彼が言うには、潜水艦乗りこそは、一番ストレスがたまるけど、それだけに、しっかりした、立派な乗員ばかりとの事です。何か話がずれちゃった。「Uボート」は、ドイツ国内でも絶賛された映画だそうですね。あの当時はそういう映画作る事も困難だったとか・・でも作っちゃうと、こうした世界中から絶賛される作品になるところが やっぱり日本と違うよおお「完全版」が出てるとかで、今一生懸命捜しております。減点する所が見つかんないので 満点になりました。私にとっては初の満点。ちょっと減点できないもの。他の方どうなんだろう??後で見よう。

ジョン・ミラー
10点
総合評価 10点
画質9点 音質(サウンド・デザイン)9点 脚本演出10点 考証9点
DVDパッケージ・デザイン7点 添付資料9点(ディスクに収録されているメイキング含む)
米国版DVD リージョナルコード1
収録時間  209分 カラー スクィーズ ビスタサイズ
音声 ドイツ語DD5.1Ch 英語DD5.1Chスペイン語2Chステレオフランス語2Chステレオ
字幕 英語 スペイン語 フランス語
映画「Uボート」は残念ながら劇場での公開を見逃したので随分前に「劇場公開版135分」の作品をレンタルビデオで見た後、数年前に日本ヘラルドより発売されたLDの完全版313分を購入し、先月に入手した米国版DVDディレクターズ・カット209分を最近視聴した。
本レビューは画質、音質とも一番優れていると考える米国版DVDディレクターズ・カットを主に、一部資料はLD国内完全版より引用した。
ストーリーについてはこのコーナーの管理者の記述があるので省略する。
まず、スクィーズ収録で細部まで緻密に描き出す超高画質に驚く、ノイズなどもほとんど現れない残念ながら国内版LDとは次元が違う高画質である。
81年度作品だがテレシネの段階でインターポジを使用したのでは想像する。
敵駆逐艦に発見され、緊張と熱さで船内の船員達が玉のような汗をかく場面では高画質の余り、思わず自分もタオル、手ぬぐいで顔や首筋を拭いたくなった。船内の様子も質感に溢れ映画のセットには思えない。何日か前にLDで見た東宝映画「連合艦隊司令長官山本五十六」の船内セットと比較すると残念ながら映画にかける情熱や技術力の差を思い知らされる。古い作品だからとのいいわけにはならない。比較的新しい作品でもセットの貧弱さを感じる作品は有るのだから。
最近は家庭でも高画質の視聴環境を整える事が可能になったので映画制作者は心して欲しい。
DD5.1Chのサウンド・デザイン(サラウンド)も秀逸である。
駆逐艦の爆雷攻撃の場面では、サブウーファのLFEが効果的に作動し"ズッシーン"の爆発音と共に我が家の床を揺らす。船上を通過する際のスクリュー音や、潜水限度を超えた潜水艦にかかる水圧で船内がきしむ音などが頭上から響き渡り、怖さの余り鳥肌が立つくらいだ。
水圧でバルブが吹き飛ぶシーン等は余りの臨場感で手元にレンチ・スパナを置きたくなった位だ。
監督のウォルフガング・ペーターゼンは、もともとテレビ映画出身だが監督に起用されたこの作品はドイツ本国で大ヒットし各国でも高い評価を受けた。その後の活躍は皆さんご存知の通りである。他の作品では「ネバー・エンディグストーリー」「ザ・シークレットサービス」「アウトブレイク」「エアフォース・ワン」などがある。Uボート同様、密室を舞台にしたエア・フォースワンも緊迫感があり面白かった。そう言えばハイジャツカー達がロシアに捕らわれた将軍を釈放させようとするが艦長役のユルゲン・プロホノフなのを思い出した。
この映画では淡々と任務に従事している平時から極限状態に追込まれ錯乱状態に陥った機関長など人間の脆さなども描きだす丁寧な演出が見事である。
艦長役のユルゲン・プロノフが与えられた任務を忠実に遂行する指揮官としての立場と一個人の人間として苦悩する役を良く演じている。
実際にUボート乗組員だった作者が体験に基ずいて書き上げた原作だというのが全編を通じて感じられ、当たり前の事だがドイツの戦争映画は、ドイツ人の原作でドイツ人の監督が演出しドイツ人の役者が演じれば、これだけ見応えのある物が作れるというのを再認識させられた。
人間ドラマとしても純粋の戦争映画としても傑作の一本である。
再来月に国内発売が予定されているDVDディレクターズ・カット版の出来に興味が持たれる。

ADU
10点
映画館で『DasBoot ディレクターズカット版』の予告を見たとき、SPRの予告編を見たときとおなじような心のざわめきみたいなものを感じました。よし、絶対に見に行くぞと心にきめたまではよかったのですが、単館上映ということで、有楽町まで行かなければならないし、行ってみたら凄い混雑で1時間半待ちました。しかも待っている人の8割はは30代以上の男のひとばかり、困ったと思いながらも、心のざわめきを信じて並びました。でも、頑張って観にいって良かったです。『DasBoot』を観て、私の戦争映画に対する観点がまた少し変わったような気がします。Uボートと英軍との戦いではなく、自分がUー96の44人目のクルーとなって、生き延びていくような感覚におそわれました。時代も1941年秋ということで、Uボートの脅威も30年代後半のものとは随分違っていたのだと思います。アスディック・ソナー・エコーの”ピコーン・・ピコーン・・”という音を聞くたびになんとなく、頭上を見上げてしまう自分がおかしかったです。あれほど意気揚々を生き生き仕事をしていたヨハンの狂気がUボート艦内の狂気の全てを象徴していたような気がします。この作品の素晴らしさは、Uボート内でのクルーの生活、心理、見えない敵との戦いはもちろんですが、クラウス・ドルディンガーの音楽が凄かったです。この作品を見てドイツ軍びいきになってしまいまいた。英国びいきのわたしですが『Das Boot』の最後をみたときほど、英軍が憎く思ったことはありませんでした。
この作品で、あの最後のシーンだけが嫌いです。でも、あのシーンに敗戦国ドイツが作りだしたメッセージがこめられているような気もします。
完全版も観たのですが、完全版をみて、さらに人々の心にふれた気がしました。

UKE
10点
 私にとって最高の戦争映画である。最初に見たのは小学生のとき、テレビ放送で。その後もビデオで借りて何度か見た。そして最近ついに完全版を見ることが出来た。私は同じ映画を繰り返して見るということは滅多にないが、「Uボート」は見るたびに新しい感動と、最初に見たときの衝撃とを同時に味わう事が出来る稀有な作品だ。そもそも私はこの映画を見て、戦争映画には独特の逼迫観と硬質さがあるように感じ、他の戦争映画を鑑賞するようになった。

 「Uボート」には圧倒的な存在感を持つ主人公は存在しない。ただ通称破壊に従事する潜水艦と、乗組員であるドイツ海軍兵士とがいるだけである。また正義感をあおるような場面も、ヒロイックなシーンもない。あるのは狭い艦内という極限状況や、駆逐艦との爆雷戦といったマイナーなシーンの連続である。しかし、それだけに、悲惨な状況の中にいる、"普通の人"である海軍兵士に、私は感情移入してしまう。危険な任務の出航前に泥酔したり、撃沈した敵タンカーの乗組員を救うかどうかで迷ったり、激しい攻撃に錯乱して持ち場を離れて反省したり、と多分私がその場にいても同じ行動を取ったのではないか、と思うほど、「Uボート」はどのシーンにも重い現実味がある。しかも、そのどれもが潜水艦という完全な密室の中で行なわれているため、常に緊張感と危機感とを伴っている。

 この映画の一つのクライマックスは、ジブラルタル海峡での浮上である。U96は海峡で英駆逐艦の爆雷攻撃を受け、深度280Mで着底する。侵入する海水を掻き出したり、飛び散るバルブを固定しながら、それでもわずかな生還の可能性に賭けようとする乗組員の姿は感動的である。過酷な任務の中で、感情を無くしていてもおかしくはないのに、浮上の際に見せる乗組員の生への祈りとも受け取れる表情に、私は常に何かを考えさせられる。

 「Uボート」は最後、ブンカーでの凱旋中に、航空機による爆撃を受け、U96が沈没するシーンで終わる。そして、最後まで生き延びてきた艦長らも機銃掃射で、あっというまに殺される。唐突なラストだが、声高な反戦を叫ぶのではなく、個々の場面を忠実に描く事によって戦争の恐ろしさを静かに伝えてきたこの映画なりの、精一杯のメッセージであったと思う。「Uボート」は私に、戦争映画の魅力と同時に、その題材である"戦争"という行為の愚かさや虚しさも教えてくれた、忘れ難き映画である。

まきまき
10点
10点です。とっても良かった。
こんなに一生懸命に、そのうえ息を詰めながらビデオを観るのは久々でした。
乗員がそれぞれ自分の仕事を無事こなした後の、艦長さんの「良くやった」の言葉に涙が出そうになりました。唐突なラストもたまらない。哀しすぎる。
すごく面白かったです。ディレクターズカットも観ようと思います。

ジェイ
9点
ストーリー 3点、映像 3点、戦闘シーンのリアルさ 3点

「Uボート」。間違い無く、傑作です。4ヶ月にも及ぶ潜水艦の作戦行動と乗員の「生活」の実態を、これほどリアルに描いた映画は無かったし、今後もこれを越える潜水艦映画は現われないでしょう。

まず映像ですが、フジフィルムを使ったせいでしょうか、色調が青みがかった感じで、映画全体のムードに良くマッチしています。ハンディカメラを用いた艦内のシーン、特に急速潜航の際、戦闘配置に走る乗員を追う一連のカメラワークは、スピードと実戦の緊迫感が漲り、息を呑みます。個人的には、冒頭近く、エンジンルームのドアを開けた途端、規則正しく運動するピストンの行列と轟音を後ろに控えて、「幽霊」のあだ名を持つ機関長ヨハンがにんまりと笑うシーンには、「これこそ本物だ!」という気がして、本当にぞくっとさせられました。

戦闘シーンのリアルさ、これも申し分ありません。この映画のディレクターズ・カット
版には、監督のヴォルフガング・ペターセンのコメントが入っていて、その中で彼は、Uボートの内部再現にはビス1本まで徹底的に拘ったことや、俳優の選択に当たっては、実際と同様、ドイツ各地やオーストリアから、それぞれ異なった方言のドイツ語を話す者達を選んだことなど、興味深い裏話を披露していますが、そうした努力の何もかもが、比類の無い臨場感を生み出しています。「何のための考証か」、また、「何のためのディテールか」を良く理解していないと、ここまでリアルな戦闘シーンはできるものではないと思います。

とにかく、「Uボート」には、つまらないシーンやエピソードが一つもない…と言いたいですが、個人的には、ラストの英軍の空爆と、それに続くUボートの沈没、乗員達の死のエピソードに対してだけは、それまでの全ての展開と相容れないものを感じます。何か「とって付けた」エンディングのような感じがしてなりません。戦争の不条理を訴えたかったのでしょうが、もう少し自然な形でできなかったものだろうかと思わずにはいられない。このエンディングのために、僕は、ストーリーの4点満点から、1点を減点せざるを得ません。

ともあれ、「Uボート」は、僕にとっては、「潜水艦映画版SPR」のようなものであり、最高の賛辞を与えたいと思います。

ハウプマン
9点
ドイツ映画らしい実直さを感じさせる、真面目な戦争映画。潜水艦という特殊な環境下で、ドイツ海軍の若き戦士たちが何を考え、どのように生活していたのかを生々しく描いている。とかく、「Uボート」というと「凶悪な海の狼」という精悍で獰猛なイメージが先行するが、作戦水域への往復や索敵などで大部分の時間が費やされ、接敵・魚雷発射という肝心の活躍が運次第という実態には驚かされた。退屈な航海の果てに、敵艦船との邂逅を心待ちにする乗員達の心理。ハンターであるはずの彼らが、対潜能力が改善された駆逐艦に追われる恐怖。まるで、小船のような潜水艦に襲いかかる嵐と最大の難所ジブラルタル海峡の通過。乗員達の生活感あふれる人物描写と、緩急をつけたエピソードの数々によって、Uボートの勝利なき栄光と挫折が見る者の胸に迫る。文句なしに「最高の海洋青春映画」でもある。

Shawshunk
9点
この映画が封切られたときには狂喜しました。ドイツの戦争映画の新作?しかもUボートだって?当時は「マリア・ブラウンの結婚」や「ブリキの太鼓」などドイツ映画がすごいパワーを持っていました。いかにもドイツ的なレアリズムが貫いている骨太な作風は、期待を裏切りませんでした。巨大な潜水艦基地。狭い潜水艦内にひしめくドイツ兵と食物。巨大なディーゼル機関をとりしきる気違いヨハン。滅びの悲壮美と艦長の男のストイシズム。戦争映画がしばらく忘れていたものをストレートに描いてくれました。とらすいみにそれにくらべれば多少の破綻など問題ではありません。深海の重圧で吹っ飛ぶボルト。ボルトは使われていないはずです。最後の艦長の唐突な死に様と垂直に沈むUボート。そんなものは全体からすれば大したものではありません。荒れる大西洋を突っ走るUボート。それだけで戦争映画ファンは痺れてしまうそんな名品でした。

marmel
9点
 ドイツ戦争映画の傑作であることは間違いありません。
 DVD版は色々なエピソードが入り、より人間性が出ていますが、それにしても、映画そのものより、BGMが今でも使われているあたりはすごい!(あのジブラルタルを突き抜けるシーンで使われている曲は、ワーグナーの「ワルキューレの騎行」に似ています)
 よくできている点は、映画の抑揚がはっきりしているところもあります。
 非難点は、ほとんどありませんが、ラストシーンの取ってつけたところ、不思議と艦内では死亡者が出なかったところに、空爆で死んでしまう(従軍記者ヴェルナー少尉と親交のあった人がほとんど)ところは違和感があります。ドイツ映画はハッピーで終わってはいけないと言う強迫観念があるかのようです。
 しかし、それはそれでいいのではないのでしょうか?(戦争映画で味方が死なないのは、某アメリカテレビ映画で十分です)

赤男爵
9点
最初に映画館で見たのはドイツ。当然字幕なし。喋ってることのみならず、どうやって修理して着底した状態から浮上できたのかも理解できず、語学力の不足を実感し敗北感に打ちひしがれた。
オリジナル劇場公開版、ディレクターズカット版、それにTV放送版があるが、オリジナル劇場公開版が最高。音響を重視したというふれこみのDC版はオリジナルの緊張したストーリーを徹底して組替えたために冗長な流れ以外のなにものでもなくなってしまっている。
スゴイと感心したのは急速潜航する際に艦首に殺到する乗員をカメラが追いかける撮影。あんな狭いところでよく撮れると思った。潜水艦映画は過去に優れた作品がいくつかあったが、段々近づいてくる機雷の爆発音、海中を逃げ惑う窒息しそうな閉塞感、浮上した時の外の冷気、そういった人間の感覚に直接訴えて表現することに成功した初めての映画ではないか。確かにUボートの乗員からは敵である駆逐艦やヤーボそれに直接敵兵の姿は目に見えない。本作では追い立てる敵側の映像はなく、見えるのは自分が撃沈した敵艦の乗組員が救いを求めているときだけという残酷なメッセージもずっしりと伝わってきた。
基地に帰投したところをヤーボによって攻撃され艦は沈み、そしてそれを視界の端で捉えた艦長はじめ乗員多数も命を失うというエンディングは他の戦争映画とは比べ物のない虚無感が残る。その後の同監督の作品(アメリカ映画)とは著しく異質な気がする。
非常に真面目なドイツ製戦争映画の最高峰として9点。

Zach Bass
8.5点
かなり9点に近い8.5点です。私にとって10点満点の戦争映画などあり得ないと思いますので、商用映画では最大評価に近いものです。

狭所・閉所恐怖症気味の私にはかなり辛い映画でした。
そもそも恐怖症気味になった原因は子供の頃に「人間魚雷回天」という映画を観てからだと思っていますので「潜水艦もの」は避けていたのですが、「Das boot」は別格ですね。たまたまTV放映で見たのが初めで、その後ビデオ(原語)で何度も観ました。映画館で観なければ本当の評価は出来ないと思いますが、映画館だったら9点以上をつけたかもしれない映画です。
潜水艦については全くの素人ですので考証の評価はできません。
「Uボートって思ったより大きいんだ。」というのが初めて観た時の感想です。
ストーリーは誰でも考えつくような「ありきたり」のものですし、役者も取り立てて際立った演技をしているとも思えませんが、これだけの評価を与えてしまう魅力って何なんでしょう。とにかく、荒れた海を疾走するUボート、夕焼けの海を航行するUボート、忘れられません。

Hawkeye
8点
Uボート(Das Boot)は世界映画史上、最高の潜水艦映画だと思います。
私はこの作品の「完全版」を観ていないので、公開され、ソフトとして最初に発売された版のみでの批評とすることを、まずお断りします。

1941年ドイツ占領下のフランス西部、ビスケー湾に面した港町ラ・ロシェルから物語は始まりますが、この年の暮れに帝国海軍が真珠湾を攻撃し、これを契機に、米国が孤立主義を放棄して参戦しますが、物語は米国参戦前の、英国を相手とした大西洋の戦いを描いています。この映画の殆どと言っていい程のドラマの舞台となる艦内のセットは、実物を忠実に再現した、第三帝国海軍の潜水艦内生活は斯くありなん、とばかりのすばらしい出来映えで、これがこの映画の圧倒される程のリアリズムの基本となっています。この映画では、いわゆる「敵」である英海軍の顔は全く見えません。もっぱら、兵士間の会話の中にチャーチルを揶揄するものがある程度で、物語のメインストリームは、潜水艦乗組員としての恐怖、不安、希望、渇望、そして「板子一枚下は地獄」の海軍最前線兵士として、また誇り高きドイツ海軍軍人として、後方の上層部に対する拭いがたい不信感、愛する祖国に君臨するフューラーに対する屈折した心情を、気負うことなく、折り目正しい軍隊生活を表現することにより、描くものです。

当然、お定まりの敵駆逐艦による爆雷攻撃、底着状態からの脱出、浮上しての敵中突破と、アクションシーンはあるものの、ここあたりは正直言って、「眼下の敵」や「深く静かに潜航せよ」や「レッド・オクトーバー」の息詰まる手に汗握る緊張感の表現には及びません。この映画の見所である、艦内居住区の、薄暗い灯りの中での兵士の会話、底着して艦を修理する過程の艦長以下乗組員の心の揺れを、覚悟はしていたものの捨てきれない生への執着を、丁寧に描く製作姿勢には大変好感が持てます。 監督のウォルフガング・ペーターセンは、長くTV映画を手がけていたようなので、密室ドラマが得意だったのかもしれません。

巻頭とラストに登場するラ・ロシェル港のUボート基地は圧巻です。画面に映る人達全てが活動している(変な言い方ですが)見事な再現ぶりでした。連合軍の空襲には反撃が無かったが、迫力は十分でした。連合軍の急降下爆撃機が、花火が落ちるように編隊を崩して四方八方に一斉に降下する一瞬のカットがありますが、RAFにあんな戦法ってあったんですかね?印象に残ったシーン、ハッとしたシーンは、母港へ帰投することが中止となり、ジブラルタル海峡経由でイタリアへ行く事になったとき、乗組員が怒り、嘆き、発した言葉、「ラ・ロシェルへ帰りたい!」。 ラ・ロシェルは戦争中で占領中とは云え、紛れもなくフランスの港ではありませんか! これはもしかして、国を問わず、母港に家族や愛人が待つ(?)海軍軍人特有の発想か? キティー・ホークが中東での作戦行動に疲れたら、クルーは「横須賀へ帰りたい!」と云うのかな?