鷲は舞いおりた
The Eagle Has Land

製作国 アメリカ
製作年 1976年
公開年 1977年
時間 123分

時代背景 WW2


製作会社 ジャック・ウィナー=デビッド・ニーブン・ジュニア・プロ
監督 ジョン・スタージェス
原作 ジャック・ヒギンズ
脚本 トム・マンキーウィッツ
撮影 アンソニー・リッチモンド
音楽 ラロ・シフリン
出演 マイケル・ケイン
ドナルド・サザーランド
ロバート・デュヴァル
ジェニー・アガター
ドナルド・プレザンス
アンソニー・クェイル
ジーン・マーシュ 

[概要]
チャーチル首相誘拐の命を受けイギリス本土に降り立ったドイツ軍空挺部隊の戦いを描く。ジャック・ヒギンズの同名小説の映画化。

[映画賞]

[ソフト化]
ビデオ・LD・DVD

[Goods]
チラシ

cover 3,800円
鷲は舞いおりた
TBD-1023
東北新社
(2001/04/27)


鷲は舞い降りた 580円
著者:ジャック・ヒギンズ
翻訳:菊池 光
早川書房(ハヤカワ文庫NV)

鷲は舞い降りた 完全版 920円
著者:ジャック・ヒギンズ
翻訳:菊池 光
早川書房(ハヤカワ文庫NV)

鷲は舞い降りた 完全版 1,942円
著者:ジャック・ヒギンズ
翻訳:菊池 光
早川書房(Hayakawa Novels)




レビュー人数
7人
平均点
8.5点
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zono
9.8点
僕の最も愛する戦争映画。
そう思うようになったのは原作を読んでからである。
しかし、その原作に引き合せてくれたのはこの映画であったし、改めて見てもその原作の面白さを損なわずに伝えてくれている映画だと思う。

軍装には詳しくないのだが、気分を害するほどヒドイものではないように思う。
なによりも僕にドイツ空軍の青い制服(フリーガブルーゼ)の存在と魅力を教えてくれたのはこの映画であった。もちろんパイロットでもないシュタイナ大佐(原作では中佐)の革ジャンには今となっては疑問を感じないわけではないのだが、これも我慢はできるのは贔屓目に見てるからだろうか?

映画を先に見ているからかもしれないが、キャストも悪くない。
特にデブリン役のD・サザーランドとラードル大佐役のローバート・デュバルはまさにピッタリと言えよう。もはや、この2人以外には考えられない。あえて苦言を申すならば、シュタイナの副官、ハンス・ノイシュタット中尉が、原作を読んだ後ではリタァ・ノイマン中尉のイメージとちょっと違うような気がするのだが・・・。彼はもっと若く、少年の面影を残したような青年の印象を持ったので。
それにしても、なぜ映画では彼に限らず名前が変更になってしまっている者がいるのでしょうね?リタァ・ノイマン中尉なんて日本公開時の劇場パンフレットにも名前があるのに・・・。

他に気になる点をあげるとしても、やはり原作との比較になってしまう。
映画のラスト、あの座礁した魚雷艇は悲しかった・・・。

原作でシュタイナは教会での戦闘が避けられなくなり軟禁していた村人を解放する際、その行為を疑問に思う米兵に対して「なにかね、わたしたちが村人全員を人質にして、女たちを先頭に立てて銃を撃ちながら脱出を計る、とでも思ったのか?残虐なるドイツ兵、ということかね?ご期待にそえなくて申し訳ない」と言うのだが、このセリフ、多くの戦争映画で描かれているドイツ兵のことも言っているのでは?と思ってしまうのは考えすぎでしょうか?
残念ながらこのセリフ、映画には出てこないのですが・・・。

この映画でのお気に入りの名セリフはラードル大佐のカールと作戦指揮官を選定するシーンの「パーティーで美女にウィンクされたら、引っこめないのが男だろう」です。こちらは原作にないセリフですがユングの同時性・シンクロニシティをよく表現しているような・・・。(笑)

08/15
9.5点
雪のワルシャワ駅頭。軍人として、静かなしかし断固とした決意を示すシュタイナ大佐そして彼の部下たち。
終盤近く、偽装が露見してドイツ軍降下猟兵の姿に戻る彼ら。望みのない戦いに決然と進み行く部下たちと、あくまで使命を果たすべくその場を離れるシュタイナとの教会での別離。ナルヴィク・クレタ・ロシア・そしてめかじき作戦と心を一つにして戦ってきた彼らももう二度と会うことはない。

望まぬ状況ではあるのだが、人間、その場その場で最善を尽くして自己を完結させたいというこれぞ男の美学を描いて、ジョン・スタージェスの面目躍如たる一作です。世評、スタージェス最後の作品としては疑問符を付けられているようですが、決してそんなことはありません。

冒頭のシーンで下士官の帽子をかぶっていたために親衛隊の少佐にとがめられるシュタイナ。襟のスカーフを取ると首には柏葉付きの騎士鉄十字章が。静かな威厳が相手を圧倒する好きなシーンです。彼が言う「オーバースト・シュタイナー」の一言。これがために原作の中佐(オーバースト・ロイトナント)を大佐に変えたのではと思うくらい重々しいせりふです。
このワルシャワ駅頭のシーンが大好きです。停車して蒸気を上げる機関車、貨物車に積み込まれた三号突撃砲。親衛隊/警察に対して銃を構える白いアノラックの降下猟兵たち。そして一発の銃声。
マイケル・ケインの代表作と言えるかどうかはあまり他の作品を見ていないので断言できませんが、とにかく印象深い演技です。他の出演者、ロバート・デュヴァルのラドル大佐、ドナルド・プレザンスのヒムラー、ドナルド・サザーランドのデヴリンそしてラリー・ハグマンのピッツ大佐、いずれもぴったりです。
雪のワルシャワ(実際はフィンランドか)、占領下のチャンネル諸島、英本土と風景も見所の一つですし、降下猟兵の凛々しい軍装も美しく大変好ましい映画と思いました。

Shawshunk
9点
これは傑作だ。ジョン・スタージェス作品の最後の輝きといえる。作品全体にみなぎる緊張感がたまらない。原作の良さもさることながら、マイケル・ケインとドナルド・サザーランドの2大俳優の演技が、作品を引き締めている。
例によって見所羅列。
・ステンの連射とマグチェンジ、と弾着。
・アメリカ兵のダッシュと連射、手榴弾の連続投擲。まるで競技のよう。
・バズーカ砲の攻撃。後方の爆風をもっと表現してほしかった。
・その他、本物みたいな軍装(くわしいことはよくわかりませんが)
・3号突撃砲(?)らしきものがチラッと登場。

それにしても、ドイツ軍を肯定的に描くとは、当時なかなかめずらしい。こういった緊迫感にあふれ、なおコクがある戦争映画が、もっと登場して欲しいものである。

HIDEO
8.5点
どうしても原作への思い入れが大きいため、映画本来の楽しみ方に影響が出ている
作品です(原作が無ければ映画として10点だったんですけど・・・)。
でも敢えて感想を書かせていただきます。

映画自体はストーリー展開、考証面で丹念な作りを見せてます。流石ヨーロッパのミリタリーコレクターが協力しただけあって、服装、装備、車両等満足がいくものですよね。ただし、原作の影響として人物像の掘り下げがやや淡白すぎるなぁ、と思えてくるのです(いくら上映時間の都合だと判っていても、しょうがない気持ちです)。

それでは思いつくままに、感想を述べます。

考証
ラードル大佐や、シュタイナーの軍装は、惚れ惚れしてしまう位かっこ良い!!
パイロットジャケットも良いけど、エーデルワイス章が光るラードルの仕官帽子(すみません、名称判りません)、冬期迷彩アノラックが素敵でした。
3号突撃砲も健在!メッサー練習機(スチルでは単座メッサーも確認出来ます)やボスパー魚雷艇、独版人間魚雷も出てました(良くあつめましたねぇ)。
ロケ地は北フランスかスコットランドでしょうか?ストーリーに合った場所ですね。
個人的に一番気に入っているのはアメリカレンジャー隊とのステンガンを使った銃撃戦です。コンパクトに、しかもテンポ良くまとめられていました。
アクションが得意のスタージェス監督らしい演出です。

人物
サザーランド、ケイン、デュパル、ついでにプリーゼンスは最高のキャスティング。
でもZONOさんと同意見で、どうしてリタァ・ノイマン中尉を出してくれなかったんでしょうね?人質解放時に女の子と母親が彼に話し掛けるシーンが大好きなのです。
あと、水車から助けられた女の子とシュタイナーとのほのぼのとした会話も無かったしぃ・・・。
デブリンの内に秘めた闘志や、ラードルの一途な軍人気質は雰囲気万点で申し分無いです(ロシア煙草を吸うシーンは、大人の吸い方っていう感じで憧れます)。
ラードルの仕草、動作(礼の仕方とか)はスタージェスの演出でしょうか?
歴戦の独軍大佐を堂々と演技していていました。
デブリンの犬を操る時に吹く口笛には参りました(か、かっこええ)。
唯一惜しむらくは、もっとシュタイナーと部下の繋がりを描くシーンがもう少し欲しかったですね。

この映画は今までの戦争映画の視点(ストーリーいまいちでも兵器が出てりゃ良かんべぇ)を180度替えてくれた貴重な映画(つまり登場人物主体で映画を観る)です。ただし冒頭で述べたように、原作の影響が余りにも大きく1.5点マイナスの8.5点といたしました。

赤男爵
8.5点
『大脱走』の名監督Jスタージェスがジャック・ヒギンズの戦争冒険小説を映像化。
原作も優れた作品だけに原作の愛読者を尊重すれば原作から逸脱する演出もあまりできず、かえって呪縛になったのかもしれない。(赤男爵も原作を読んだが相当昔のことなので、今回のレビューは原作は忘れてしまったうえでのもの、従って原作との比較対照はしない。)
主人公がドイツ軍側であるという点でそれ以前の戦争映画と根本的に異なっている。
今までのドイツ軍=悪役というステレオタイプから解放され、観客はそれぞれ自分の好みの登場人物を選べることになった。言い換えれば見る人によって各登場人物に好き嫌いの評価が分かれるわけである。
主な登場人物は実在のヒムラー長官、カナリス提督はじめシュタウフェンベルグ少佐に似た隻眼隻腕のラドル中佐、歴戦の降下猟兵隊長シュタイナー大佐(スコルツェニーがモデル?)、アイルランド独立運動の闘士デブリン教授、実戦経験がないくせに血気にはやる米軍のピッツ大佐、イギリスに潜むドイツの女スパイと多種多様だがちゃんとそれぞれが持ち味を十分に出している。更に脇役に例えばJハンゼン(『撃墜王アフリカの星』に主演)を配するなど『大脱走』と同じくスキがないキャスティングは絶妙。
戦闘シーンは村を巡っての小規模な地上戦だけ。定石に従ってまず外縁の要所に火点を置いて迫る敵を撃退し、形勢が不利とみれば堅固な教会に立て篭もる。エリート部隊なんだからあっと驚く秘策で包囲する米陸軍に相当以上のダメージを与えるくらいは見せて欲しかった。もっと言えば英国本土に潜入したドイツ軍正規部隊との戦いである以上、駐留米陸軍(特に実戦指揮するクラーク大尉は『1941』のおバカの軍曹の方がハマリ役)ではなく、英コマンド部隊の精鋭をメインにしてホームガードが支援するといったストーリーの方がより自然で盛り上がったのではないか。ミッションは果たせず、部隊は全滅という悲惨な結果だが、正々堂々と戦ったあとのスポーツみたいにすがすがしいエンディングではある。
ヒコーキファンにはFi156シュトルヒのフワリとした短距離着陸、珍しいアラドAr96練習機、それに蛇の目を描いたC47(シュタイナーの部下が「DC3だ。」と言うがきっと戦前の旅客機のイメージが強いからそう言ったのだろう。)からのパラシュート降下シーンが楽しめる。他にも兵器、軍装には相当の考証をかけていることはマニアの一致した見方。ただイギリス在住の知人が、映画の舞台となっているイギリスのあの地方で石垣や教会の壁に使われている石材の色はあんな灰色じゃない、なんて細かなことを言ってました。総合評価は8.5点です。

Hawkeye
7.5点
ジャック・ヒギンズ渾身の傑作は、欧米でベスト・セラーとなり、映画化は時間の問題であっただろう。鷲の眼から鳥瞰するヨーロッパの山や谷は、映画のタイトル通り、且つストーリー冒頭のスコルツェニーの急襲部隊の逸話をもイメージさせる。 ヒギンズは、歴史上の実在の事件・人物と作品上の虚構とを、綿密な考証と巧みなストーリー展開で実に見事に融合させて、読む者を虜にしてしまう作家である。この作品でも実に魅力的なキャラクタ−が登場するが、ドイツ落下傘連隊の指揮官クルト・シュタイナー中佐(映画では大佐)とIRAの地下活動家リーアム・デブリンが人気の双璧であろう。シュタイナーの副官であるリタァ・ノイマン中尉に偏愛を抱く向きもあるようだが、この金髪碧眼の若き英雄は何故か映画には登場しない。代わりにハンス・ノイシュタット大尉という名の中年のおじさんが登場する。理由不明。

戦争映画ファンに、この映画のファンは多い。しかも殆どの人が原作も読んでいて、原作同様高く評価する人が多い。しかし残念ながら、原作の複雑なプロット状況設定は大幅に省略され、主に英国のスタドリ・コンスタブルの町での逸話に集約されているのは時間の制限で致し方ない。ベスト・セラー小説を映画化するのは勇気の要ることなのだが、ミステリー仕立てのこの作品を、巨匠ジョン・スタージェス監督は巧みに、忠実に映像化したと言える。最後にあっと驚く仕掛けがあるのだが、人気のある場面はワルシャワ駅頭での親衛隊との対決の場面、川で子供を助けた偽ポーランド兵の軍服の下からドイツ空軍の軍服が現れる場面、潔く人質を解放して教会に立て篭もる場面、その他数々の原作の名場面を逃さなかったのは、さすがにファンに支持される所以である。
俳優陣もなかなかの顔ぶれで、マイケル・ケインを始め、ロバート・デュバル、ドナルド・サザーランド、他の渋い役者を揃えているが、実在のヒムラー長官役のドナルド・プレザンスの存在感が凄い。

考証はアンドリュー・モロが行っているので、ドイツ軍側はそれなりに凝った出来あがりになってはいるが、シュタイナーのパイロット・ジャケットであるとか、米軍側に手抜きが散見され、十分とは言えない。あまり予算を掛けた映画ではないのだろうが、主役側である筈の独降下猟兵よりも、米レンジャー部隊兵の方が動きが良い(笑)のが、ちと気になる。 それにレンジャー隊員全員が後期型30連弾倉の全自動M1カービンを持っていたり、M3グリス・ガンを持っているのは、1943年時点では有り得ないだろう。

最後に、登場する女性は、如何にもイギリス女風で素晴らしい。特に、デブリンと恋に落ちるモーリーは、好みと言うこともあり、二重丸。

Unteroffizier
7点
ジャック・ヒギンズの傑作小説の映画化であるが、私は先に原作を読んでしまったので、映画の印象は薄い。もっとこだわって描いて欲しい部分が少なからずあることにに不満を感じる。

1.英軍の軍服を着たまま戦闘をするドイツ降下猟兵
原作ではヒムラーの命令のよって、英軍の軍服の下にドイツ軍の軍服を着たのだが、映画では自分たちの誇りのためにドイツ軍の軍服を着る。よって戦闘の時は原作通りドイツ軍の軍服で戦って欲しかった。しかも、英軍の服の時は強いのだが、脱いだ途端に弱くなってしまう。この部分は悲しかった。また原作でのリタァ・ノイマン中尉とシャフトゥ大佐のやりとりは結構な見せ場だったが、映画では妙に茶化しているのは残念であった。

2.チャーチルを撃ったシュタイナー
なぜ、映画ではシュタイナーにチャーチルを撃たせてしまったのか、あれでは影武者であることがバレバレである。原作どおり「実は・・・」の方が衝撃的で虚無感も大きいと思う。

3.えらく弱気なジョウアナ・グレイ
映画では裏切り者の負い目か、ヴェリカ神父に問いつめられてシュンとしてしまうグレイ婦人であるが、原作の、スパイという行為は自分の信念のもとに行ったものであり、神父の問いに対しても、「何で私が英国人なのよ。私はボーア人。バカにしないでよ」といってのけた彼女はとても格好良かった。原作とのギャップがちょっと寂しい。

4.虚無感がいまいち
映画はエンターテイメントなので、虚無感いっぱいの映画というのはまずいのかもしれないが、原作に漂っていた虚無感をもっと出せればと思う。原作ではチャーチルを誘拐・暗殺してもまったく戦況を変えることはできないことをシュタイナーやラードル、デブリンさえも認識しており、まったく無駄なことをさせられる、運命に翻弄された男たちの哀しさとそのいう状況にありながらが自らの信念や誇りのために戦う美しさがうまく描かれていた。この辺は「戦争のはらわた」にも通じるものがあり、うまく描かれれば「戦争のはらわた」に比類する傑作となっていたのではと思うと残念である。

ただし、誇り高きドイツ兵を映画で描くことは、いろいろと大変だったと思うがそれ以上に誇り高きIRAの兵士を描くことは様々な抵抗があったのではと思う。よくぞ映画化してくれましたという気持ちもある。
ただ、原作の感動が大きかっただけに映画について残念に思うことも多かった。特に過酷な運命に対しても、自分の誇りや信念のもとに、結果ではなく「いかに生きるか」というテーマが薄められたのが残念だった。