『大脱走/The Great Escape』

ミリッシュ・アルファ・プロ製作(1963年)
作品時間165分

製作
ジョン・スタージェス

原作
ポール・ブリックヒル

脚色
ジェームズ・クラベル/W・R・バーネット

監督
ジョン・スタージェス

撮影
ダニエル・L・ファップ

音楽
エルマー・バーンスタイン

出演
スティーヴ・マックィーン/ジェームズ・ガーナー/リチャード・アッテンボロー/ジェームズ・ドナルド
チャールズ・ブロンソン/ドナルド・プレザンス/ジェームズ・コバーン/ゴードン・ジャクソン
ジョン・レイトン/ナイジェル・ストック/ウィリアム・ラッセル/トム・アダムス/ハンネス・メッセマー
ジョージ・マイケル

 

[ストーリー]

新たに作られたドイツの北部第3捕虜収容所に、札つきの脱走常習者・連合軍空軍将校たちが運び込まれた。しかし早くも“クーラーキング”と異名をとったヒルツ(スティーブ・マックィーン)は鉄条網を調べ始めるし、ヘンドレー(ジェームズ・ガーナー)はベンチをトラックから盗み出す始末だ。まもなく、“ビッグX”と呼ばれる空軍中隊長シリル(リチャード・アッテンボロー)が入ると、大規模な脱走計画が立てられた。まず、森へ抜ける数百フィートのトンネルが同時に掘り始められた。それはトム、ディック、ハリーと名付けられた。全員250名が逃げ出すという企みだ。アメリカ独立記念日トムが発覚してつぶされた。が、ほかの2本は掘り続けられた。しかし、あいにくなことに掘り出し口が看取小屋の近くだったため、脱走計画は水泡に帰し、逃げのびたのはクニー(チャールズ・ブロンソン)と、彼の相手ウィリイだけであった。激怒した収容所ルーゲル大佐が、脱走者50名を射殺したと威嚇した。やがて、生存者を乗せたトラックが到着したとき、ゲシュタポの車が収容所の入口に止まり、ルーゲルは重大過失責任で逮捕された。かくてドイツ軍撹乱という彼らの大使命は果たされたが、幾多の尊い生命が失われていった。そして再び収容所に静けさが訪れた。

VIDEO ワーナー・ホームビデオ
LD ワーナー・ホームビデオ
DVD FOX

レビュー人数
11人
平均点
8.7点

平井 秋洋
10点
「大脱走」という戦争映画は、とかくマックィーンのバイクシーンが思い出されがちですが、ジェームスコバーンの飄々とした役柄や、マンダムおじさんのホモッぽい感じ等、端はしに各キャラクターの個性があふれています。収容所からトンネルで脱出し「全員逃げ切ってほしい」と祈りながら手に汗を握りつつ興奮して見ていました。結局国外へ逃げ切ったのは、自転車プラス歩きのジェームスコバーンの「便利屋さん」と、手こぎボートの「トンネルキング」ハリーとトムの2人だけだったように思います。しかしラストシーンのマックィーンがお決まりの独房「クーラー」に再び入ったときにボールを壁に当てた音とそれを聞いて怪訝な顔をした若いドイツ兵のシーンが、妙にさわやかなイメージを受けた事を思い出します。数多くの戦争映画を見ておりますが、この映画ほどタフなチームワークを表現したものは無いと思います。点数は10点満点の思いでの作品です。

じゃんけんポン太
10点
よいところ
1・・・・あくまでも原作はノンフィクション
2・・・・だれにでも楽しめる
3・・・・重くない
4・・・・バーンスタインのタイトルが軽快
5・・・・マックインの得意分野が出ている(バイク)

難点
1・・・・マックインのバイクがひっかかる(R75にはみえないがビクトリアと思え ば気にならないかも)
2・・・・D・プレザンスの年齢(かなりふけて見える)
3・・・・マックインがバイクで逃走中なぜかドイツ軍の制服を脱ぐこと(バレてひらきなおったか!!)

難点は普通の人には関係ないと思う。あまり細部をつくと視点がずれるとおもうあくまでも一般視聴者の観点から(兵器などの知識は除く)

ホアン・ラミレス
10点
「ポール・ブリュックヒルの原作が早川文庫で出るまで、カッパブックスで『コルディッツ大脱走』を読んで飢えをしのいでました。テレビにもなりましたが、あんまり面白くなかったなぁ。」

08/15
9.5点
ジョン・スタージェスの油の乗り切った時代の傑作。いわゆる「脱走もの」のジャンルに入るのですが、戦争映画というより冒険小説の映画化のような快作です。
唯一の欠点は、収容所生活がなんだか楽しそう、という一点だけ。原作では、空腹と拘禁ノイローゼが窺えるんですが。

ストーリーは実話に基づいていますが、実名を避けて上手にフィクションの部分を嵌め込んであってとても上質なエンターテインメントに仕上がっています。ジェームズ・ガーナー、ジェームズ・コバーン、チャールズ・ブロンソン、デヴィッドマッカラム等当時の売り出しTVスター、「霧の中のジョニー」がヒットしていたジョン・レイトンも忘れ難いキャストです。そういえばドナルド・プレザンスもこの映画が初お目見え。しかし、中でも一押しはスティーヴ・マックイーンのヒルツ大尉であることに異を唱える人はいないでしょう。バイクで国境を突破しようとするあまりにも有名なシーン。ハンネス・メッセマー(好きな役者)が連行された後の新所長代理をニヤリと笑って、クーラーの中で一人キャッチボールを始める絶妙のラストも印象的で、一人でさらってしまいました。

ドイツ軍も普通の兵士として描いているのも好感を呼びます。特に背の高い准尉(グレムニッツだったか)のプロぶりがいい。本当のドイツ人だし。ドイツロケの美しさも特筆すべきです。未見の方に是非おすすめしたい傑作です。

原作に忠実に描いたものに「大脱走2」があり、これはこれで面白いです。

ジェイ
9点
採点:9点(ストーリー4/4点、映像3/3点、戦闘シーンのリアルさ2/3点)

「自由の讃歌」

最初に断っておかなければなりませんが、SPRを観たことで、僕が戦争映画を観る視点とスタンダードは、以前よりもかなり深く、かつ高くなっています。それでも、「大脱走」は、戦争映画史上に輝く名作だと思います。

「大脱走」は、戦争映画の範疇に入りますが、テーマは、「自由の讃歌」です。失って始めて分かる自由の大切さを、自由を取り戻そうとする男達の姿を通して、雄々しく、明るく、美しく描き切っています。暗く、凄惨な描写をしなくても、登場人物一人一人を脚本が丹念に描き出し、監督が主旨を一貫させ、俳優達が渾身の演技をすれば、戦争の不条理、人間性の重さ、そして人間の基本的な条件としての自由の大切さは立派に描き切れるのだということを、この映画は証明しています。

「大脱走」の一番の見所は、まばゆいほどの「スター・パワー」でしょう。出演者の誰もが、それぞれ、主役を立派に務められるだけの魅力と実力を持っています。僕個人としては、やはり、スティーブ・マックイーンの颯爽としたヒーロー像が、有名なオートバイの追跡シーンと共に、一番印象に残りますが、悠々と、極めてスムースにスペインへの脱出に成功する、ジェームズ・コバーンの長身の姿も忘れられません。また、後に、「遠すぎた橋」や「ガンジー」の監督を努めることになる、リチャード・アッテンボローが、脱走計画のリーダー、「ビッグX」役で、重厚な演技を見せていたことも印象に残っています。

「大脱走」の成功のもう一つの大きな要因は、エルマー・バーンスタインの音楽であることは言うまでもないでしょう。あの、メインテーマには、ヒロイズム、希望、ヒューマニズム、哀愁など、「自由」を構成するあらゆる要素が、豊かに盛り込まれています。また、映画の各場面との調和も完璧でした。トンネル彫りの二人、チャールズ・ブロンソンと、ジョン・レイトンの二人が、小舟で川を下り、中立国の船に辿り着くときの、潤いに満ちた旋律は、心に爽やかに浸透します。同じ潤いと安らぎは、ジェームズ・コバーンが、盗んだ自転車で悠々と田舎を走ってゆくときの音楽にも感じられます。反面、ドイツ軍の追跡を振り切ろうとして、スイス国境へ向けて驀進するオートバイ・シーンの、はらはらどきどきのスリルも、音楽が見事に盛り上げていました。

公開当時に感銘を受けた、ヨーロッパの風景の美しさ、その輝きも、35年を経た今日も、全く色褪せていません。シャープで、コントラストの効いた映像が、「外の世界」の自由のイメージを強調していたのだと思います。反対に、捕虜収容所、ゲシュタポの尋問室、そして、あのいまわしい大量銃殺が行われるシーンの悲しい夕暮れの映像は、コントラストが抑制され、薄暗いトーンが強調されて、失われた自由と死を、ストレートに表現し切っています。

とにかく、「大脱走」には、欠点が見出せません。また、欠点を探すような気持ちにさせないくらい、真摯で正直な、人間性と自由に対する希望が、全編に満ちています。やはり、これは、1963年制作の映画なのでしょう。当時、世界は、まだまだ純真無垢でした。あれから35年、僕達は、随分遠い道のりを歩いてきましたが、後に残してきた世界、僕達が忘れてしまった世界の輝きが、映画「大脱走」の中に生きている。そのように感じられてなりません。

祥優
9点
あの音楽 とっても楽しくっていいですよね 大好き! わくわくする収容所だから 暗いのかなとか思ってたんですけど、すごく明るくって、捕虜といっても なんか元気あるんですよね 結構自由に振る舞ってるし米兵ってあの中に 3人だけでしたっけ? スティーブ・マックイーンとその他。マックイーンという人はよく知らないんですけど、何か表情に苦みがあるというか、「宇宙戦艦ヤマト」の真田さんを思い出してしまった脱走の為に準備ちゃくちゃくと進める収容所のシーン、わくわくしました(トンネル掘りのシーンは 息詰まりそうでしたけど)書類とか揃えたり会話の勉強したり、衣装作ったり(何か 芝居小屋の衣装室みたいでした)ええ これって全員居なくなっちゃうんじゃないかしら とか 思ってたけど、やっぱりそう上手くいかないんですね 後半は この脱走後の各人各様の様子が楽しかった はらはらしました。あれほど注意してて、自分が言葉のひっかけにあっちゃった 偉い人や身代わりになって撃たれる金髪の人、飛行機が墜落しちゃう人・・(あの 墜落した おじさんの方 あの人には成功して欲しかった・・)どんどん捕まっちゃうんですけど まさか舟の二人が成功するとは・・これも意外だったなー。結局大量に捕まっちゃって、で 運ばれている途中、「脱走は楽しかった」って話してたら 機関銃のガチャとかいう音  ダダダと撃つ音・・あのシーン それまで結構楽しく見てたのに 「え うそ うそ」でしたあれ実話なんですよね・・やっぱり楽しいままじゃ終わんなかった。スタイナー軍曹は はらはらしたけど ちゃんと脱走出来てよかった・・

連合軍って 捕虜になった時の脱走の仕方まで 訓練に入ってるんでしょうか? だってみんなすごいプロだもん

減点の対象は・・あんまりないけど なんで9点なんだろう???あ バイクで飛べなかったから! 飛べそうだったのに! それにしよ

marmel
8.5点
 某放送局では時々テレビ放送しているようですが、カットばかりが多く残念です。
 スティーブ・マックイーンのバイクシーンも素晴らしいですが、大脱走する前の「悪魔の細心」とも言えるべきシーン。脱走前にゲシュタポの尋問に対してドイツ語を話して、最後のひっかけまで訓練したりなどかなり凝っています。
 ドイツ人も(相変わらず間抜けですが)良心的で、所長もイギリス人以上に紳士
だったり思えます。
 リチャード・アッテンボローを捕まえた後の、SS将校の「アオスゲツァイヒネット!(よぅし! よくやった! って感じ)」本当に嬉しそうでしたが、なんとなく虚栄心と、目のあたりに総統が写っていそうで、ちょっとって感じです。

ARMY
8点
この映画は1963年に作られたとは思えないほどいろいろな点でよくできていて、今見ても全然見劣りせずに楽しめる作品だと思う。
この映画は印象に残るシーンがたくさんある。
やっぱり一番はヒルツのバイクで逃走するシーンで、柵を飛び越えるところはすげーと思った。だけどバイクで逃げてる途中にあった小屋を、叩いたり蹴ったりしたのはなぜなんだろうと疑問に思った。
ほかに印象に残ったシーンは脱走用の穴が歩哨に見つかりいっせいに森へと逃げるシーンレジスタンスの人達が助けてくれるシーン、脱走がつかまり収容所へと送られる途中に休憩だと言われトラックを降りると全員射殺されてしまうシーン、そして最後のヒルツが独房に入れられ壁当ての音が響くシーンなどどれをとってもインパクトがあると思う。あとこの映画は仲間意識の強さも描かれていると思う。ヘンドリーが目の悪いコリンといっしょに逃げたり、ウィリーが閉所恐怖症のダニーを気付かったり、列車の駅で仲間が検問のところで敵にバレそうになったところを体当たりして注意を引き付け、自分が犠牲になってまで仲間を逃がしてあげたアシュレーなどとてもいい奴ばかりだなと思った。
最後に、ヒルツが主役なのに出番が少ないのとバイクが撃たれてヒルツが転げ落ちたとき有刺鉄線がからまりとても痛そうだった。

赤男爵
8点
外界から途絶された捕虜収容所に閉じ込められ、武器はない、外にいる圧倒的に優勢な敵に可能な限り最大の損害を被らせる。これほど難しい命題は他にはない。ではそのミッションは?脱走。手段は?知恵と勇気それにガッツ。後は役割を分担する個性豊かな登場人物と全体を統率するリーダーの存在。『荒野の七人』で培った手法は本作に十二分に生かされている。対するドイツ軍側にもHメッセマーはじめ粒揃いの役者が配されており不足はない。知恵比べのゲームのように物語は進んで行き、トンネルが短すぎたという些細な人為的ミスで全員の脱走は果たせず、結局ドイツ国外に脱出できたのは3名のみ、大部分は逮捕され、収容所に戻るか銃殺されてしまう。寛容をもって警備にあたってきた収容所長は解任され、SSが引継ぐ。壮大な脱走計画は事態の悪化しかもたらさない徒労だったのだろうか。古巣の独房に帰ってきたSマックィーンを見る看守役の若い兵士の同情にも似た表情がすべてを表している。
前半では狭いトンネル内が映し出され息の詰まりそうな閉塞感に苛まれるが、後半は一転して明るい南ドイツの牧歌的風景の中での逃避行。同じワイドスクリーンでその対比が素晴らしい。鉄道、バイク、飛行機はことごとく失敗するが自転車と手漕ぎボートが成功という皮肉っぽさもおもしろい。もうひとつ印象に残っているのはタイトルバックでトラックの縦列が通過する路傍に赤い小さな花が揺れるシーン。捕虜たちが奪われた自由を象徴する画像と見た。
イギリス軍将校用の捕虜収容所という設定にもかかわらず、Sマックィーンに代表されるアメリカン・ヒロイズムが少々鼻につくが、監督に許された裁量の範囲ということか。
総合的に高い完成度ゆえ、正規の戦闘がなくてもOK。8点の評価。

ハウプマン
7点
戦闘シーンのない「戦争映画」だが、連合国空軍将兵捕虜の目を通して「戦争」の怖さ、非情さがよく描かれている。捕虜の生活や組織的な脱走計画の進捗と共に、個々のキャラの人間味が暖かく、コミカルに表現されていることで前半はコメディーのような微笑ましさを覚えるが、これで後半の悲劇が際立ってくるのは、さすが。
問題は、脱走後の複数のドラマを追ったため、時間の経過や捕虜たちの苦難が十分に説明しきれていないことだと思う。捕虜たちを人間的に扱ってきた収容所長がゲシュタポに逮捕されたり、看守がロシア戦線送りに恐怖している様など、ドイツ軍側の内にある怖さが描けている点は大いに評価できる。

Hawkeye
7点
ジョン・スタージェス監督作品、1963年公開の「大脱走」は、色々な見所のある戦争映画の傑作の一つであることは間違いない。 前年公開された「史上最大の作戦」程の、圧倒的物量による大作映画ではないが、事実をベースに脚色した数百人規模の連合軍捕虜収容所からの集団脱走劇であり、キャスティングはなかなか英米の有名どころを集めており、当時はまだメジャーではなかった俳優も含めて、今観れば、まずは豪華オールスター総出演映画で、看板に偽り無く、事実本当に楽しい映画でしょう。
私は、この映画はS・マックイーン映画だと思っている。 巨匠スタージェスは1956年のR・ワイズ監督、ポール・ニューマン主演作「傷だらけの栄光」のチョイ役でデビュー以来、大部屋役者だったマックイーンを、1959年の「戦雲」(Never So Few)、1960年の「荒野の七人」(The Magnificent Seven)と、立て続けに準主役級で起用し、この「大脱走」で堂々の主役を張り、日本での人気は決定的なものとなった。 スタージェスはこの時代に米国、および世界の映画ファンが、どんなヒーローを求めているかに、非常に敏感だったに違いない。 彼が好んで起用したマックイーンや、J・コバーンは共通して、タフで、冷めていて、個性的(美男子ではないということ)で、一癖ある、どちらかといえば悪党面である。 スタージェスは時代が求めていたヒーローを的確に見出したのである。
マックイーン演じるヒルツ大尉は、脱走常習犯の反抗的な捕虜で、何度も懲罰房へ入れられるので、「Cooler King」というあだ名が付けられており、集団脱走そのものの計画にも協力しない一匹狼として描かれており、R・アッテンボローを中心とする組織的な対応を目指すグループの、息詰まる計画実行を描くのと並行して、クライマックスは、マックイーンのサイドカー付バイクでの大胆な逃避行に持ってきている。 そして、この映画の楽しみ方は、考証についてはそれなりに出来ていた思うので、あとは、マックイーンのオートバイは、もっと早く撃ち倒すチャンスがあったのではないかとかではなくて、冒険活劇として、素直に楽しく観ることである。
ラストの、捕まったマックイーンがまた懲罰房に入れられ、壁に向かって投げる野球のボールの音は印象的。 スタージェスが一貫して描いてきた「不屈のアメリカ人」をここで表現していると勝手に思って、耳に残ったものです。