[解説]
相次ぐ新兵器の発明は、戦略及び戦闘の様相を一変しつゝあるとはよく言われるところだが、身を以て戦線を確保する歩兵の重要さには少しも変りがないらしく、各国とも従来通りその訓練に力を入れているばかりか、装備の進歩につれて訓練の激しさに拍車をかけている観がある。
弾雨血河の中を高地目指して鬼神の如く進撃する歩兵、この逞しさは訓練の賜であり、ばっと出の若者たちを立派な兵隊に仕上げる訓練こそ、戦争以上に彼等に大きく影響する。「私は教育係の曹長を何度殺そうと思ひつめたか知れないが、いざ戦場に臨んでみて、彼から訓練されたことを神に感謝した。あのタフな曹長も敵ほどはタフでなかったことがわかった」。これはある歩兵隊の一兵士の述懐だが、この映画はタフな教育係の曹長と新兵たちの挿話であり、アメリカのある歩兵訓練所の話である。
製作は「戦場」「二世部隊」などと同じくMGMの最高製作責任者で副社長ドオレ・シャリイ白から担当、「雨の朝巴里に死す」の新鋭リチャード・ブルックスが監督した。
原作及びシナリオはミラード・コーフマンである。音楽はハリウッド映画音楽の第一人者デイミトリ・ティオムキンで、「真昼の決斗」の主題歌と同じく、主題歌「あの高地を取れ」をニュー・ウオシントンの作詞で作曲した。撮影は陸軍の全面的協力を得て、テキサス州エル・パン北方五哩のフォート・ブリッスの歩兵トレイニング・キャンプで行われ「花嫁の父」「可愛い配当」「巴里のアメリカ人」(舞踊場面)などのジョン・アルトンが、アンスコ・カラア色彩撮影を監督した。
主演は「死の接吻」「拾った女」のリチャードウィドマーク、「慾望という名の電車」「拳銃王」のカール・モールデン、「悪人と美女」「ブリガドーン」のエレイン・ステュアートの三人、ウイドマークは厳格非情、新兵の憎しみを一身に集める教育担当軍曹を演じて敵役、モールデンは教育助手の軍曹、ステュアートの役は人生の悲しみを酒に紛らわす女である。彼等をめぐって、「花嫁の父」のカールトン・カーペンタア、「掠奪された七人の花嫁」のラス・タンプリン、「特ダネ女史」のジェローム・コートランド、ダナ・アンドリュースの弟で新人のスティーヴ・フォレスト、「悲恋の女王エリザベス」のロバート・アーサア、「皇太子の初恋」のクリス・ウォーフィールド、「第八ジェット戦斗機隊」のバート・フリードなど若手俳優が多数出演している。
(十二巻─一時間四十一分) |