[解説]
第二次大戦中、北アフリカにあるイギリス陸軍刑務所を舞台に、戦争、軍隊、しかも軍刑務所という、二重、三重にも特異な環境におかれた男たちの、残酷と憎悪、勇気と卑劣などが渦巻く、荒々しい男の世界を描いた異色作で、脚本を書いたレイ・リグビーは、第二次大戦中、軍刑務所に入れられたことがあり、その時の自分自身や他の囚人兵たちの体験及び、自分の目で見、耳で開いた事々を素材に、なまなましく、ドラマチックなストーリーをくりひろげる。
監督は、「橋からの眺め」「12人の怒れる男」などのシドニー・ルメットで、人間派の彼にはうってつけの題材で、非情の極限に立たされた男たちの、野獣のような怒りと悲しみを、荒々しいタッチで見事に浮き彫りする。
題名の「丘」とは、囚人兵懲罰用の道具として築かれた、高さ約二〇メートルの砂の山で、スペインの港アルメリアから約一六キロ奥地の荒地に、この丘を中心とした刑務所のセットが建てられ、全巻ここで撮影された。撮影監督は「ナバロンの要塞」「人間の絆」などのオズワルド・モリスである。音楽はこの映画のための特別なものはなく、主として自然音が効果的に取り入れられている。美術監督はハーバート・スミス。
五人の囚人兵には、「007」の人気男ショーン・コネリーはじめ、「合言葉は勇気」「北京の55日」などのアルフレッド・リンチ、「枢機卿」「残虐療法」などの黒人俳優オシー・デイビス、イギリス俳優のロイ・キニアーやジャック・ワトソンが扮し、彼らとともに、「633爆撃隊」「ギャング情報」などのハリー・アンドリュース、「白昼の情事」「年上の女」などのイーアン・バネン、「年上の女」 のイーアン・ヘンドリー、「長距離ランナーの孤独」「回転」などのサー・マイケル・レッドグレイブ、「苦い報酬」のノーマン・バードらが熱演する。
セブン・アーツ・プロ、一九六五年度のメトロスコープ作品で、同社のヨーロッパ作品担当副社長ケネス・ハイマン(「ジゴ」「何がジェーンに起ったか?」)が、自から製作を担当した。
なお、この映画は、一九六五年五月のカンヌ映画祭に出品され、グランプリの最右異に推されていたが、イギリスの体面問題がからみ、その圧力で受賞を逸し、脚本賞のみにとどまった。 |