[解説]
現在の航空界はジェット機の時代で、飛行機がプロペラを捨てることによって航空作戦の様相に大きな変化がもたらされたことは想像に難くない。ジェット機が試験期を脱したのは第二次大戦後のことであるから、朝鮮戦線こそその実験の場であったと言うことが出来よう。
この映画は朝鮮戦線に活躍した米海軍の第一線戦闘機パンサー・ジェットの搭乗員たちの生活を描いたもので、米海軍中豪膽沈着をうたわれる名パイロット、ポール・グレイ少佐(現在中佐、映画ではポール・グレイスン)及びハワード・セイヤア大尉にまつわる三つの実戦記録を中心に、航空母艦の人々の悩み、怒り、哀しみ、友情等々を緊迫した死生の間に彷彿せしめている。
サタディ・イーヴニング・ポスト誌に掲載された二つのストーリイが原作で、その一つは「南太平洋物語」(ブロ−ドウェイのヒット・ミュージカル・ショウ「南太平洋」の原作)、「トコリの橋」等のルポルタージュ作家として知られるジェイムス・A・ミッチェナアの「朝鮮の忘れられた英樵たち」(Forgotton Herose of Korea)、他の一つはハリイ・A・バーンズ中佐の戦記「盲目パイロット事件」(Case of the Blind Pilot)である。中佐が自から当っている。
脚色は「罠」のアート・コーン、「キング・ソロモン」「北の狼」のアンドルウ・マートンが監督に当り、軍医中佐に扮するウォルタア・ピジョンによるナレイションを随所に用いてルポルタージュの昧を生かしている。音楽もタイトル・バックに用いられる「金の翼」のコーラス、ミクロス・ローザ (「ジュリアス・シーザー」「アスファルト・ジャングル」)作曲の「盲目飛行」のほかは自然音を多く用いている。撮影監督は「百方弗の人魚」「兄弟はみな勇敢だった」のジョージ・フォルシイでヘンリイ・パーマンが製作に当った。
この映画の撮影に当って米海軍は、朝鮮海域からサン・ディエゴ軍港に、三週間前に帰投したばかりの二万七千トン空母プリンストン及び、同型のオリスカニイ号を提供するなど全面的協力を惜まなかった。ロケ隊は主としてプリンストン号上で仕事をしたが、鉄道爆撃行はそれにさき立ってオリスカニイ号で撮影された。また航空技術指導にポール・グレイ。
出演者は「二世部隊」「戦場」のヴァン・ジョンスン、「悪人と美女」「大編隊」のウォルタア・ビジョン、「アスファルト・ジャングル」のルイス・キャルハーン、第二次大戦中太平洋戦線で戦闘機パイロットの経験を持つ新人デュウェイ・マーテイン、キーナン・ウィン、フランク・ラヴジョイ、ロバート・ホートン等々オール男性キャストである。
なを、ナレイションは日本語で吹き変えられ、ウォルタア・ビジョンの声は順永宏、牧師の芦は川久保潔が担当している。いずれもNHK放送劇団の声優である。
ジェット戦闘機の活躍、新しい空母作戦の様相をわが国に紹介する初めての作品としても興味深く、空に関心を持つ人々の見のがし得ないところであろう。一九五四年度作品。 |