[解説]
今次大戦下、泰緬国境にほど近い日本軍捕虜収容所を主要舞台に、苛烈な戦場に追い込まれた英・米・日三国将士の凄じい意志と腐争を描いたもので、破壊的戦争のさなかに燃えあがる建設の歓びを強く謳歌するとともに、血みどろな闘争の果てに一切を潰滅し去る戦争の狂気さを訴えた野心作である。
アカデミイ賞に輝く「波止場」等の傑作を製作したサム・スピーゲルが、フランスの作家ピエール・ブウルの小説「クワイ河の橋」の映画化を思い立つたのは、今から三年前のことであつたが、監督にデヴィッド・リーンの起用を決定するとともに、一年間を要して脚本を作製、五六年十一月よりセイロン島において、約半年間におよぶ長期ロケを敢行して製作した超大作である。
この作品は、日本軍捕虜収容所を背景としたものだけに、わが国での反響も充分に考慮し、脚本作製の際から慎重をきし、たとえば収容所長である日本軍大佐の捕虜酷使という点でも、戦争という異常な環境に押しこまれた人間のやむを得ぎる義務として行動させ、単なる悪役としては描いていないのである。また製作の大規模な点でも画期的なもので、この映画で重要な役割を果たす橋梁は実際にセイロンに建設されたものであるが、ハリウッドが建設したオープン・セットのなかで最大のものであり、しかもこの橋梁に本物の汽車を走らせて爆破したのである。
脚本は、原作者のピエール・ブウルが執筆。監督のデヴィッド・リーンは「幸福なる種族」「逢びき」「旅情」等、数多くの傑作を放つた英国の名匠としてあまりにも高名であるが、ここにまた、卓抜な演出力によつて、凄じい迫力と空前の感動を盛つた傑作をつくりあげたのである。撮影は「旅情」「追想」等の名手ジャック・ヒルデヤード、音楽は「愛情は深い海のごとく」のマルカム・アーノルドがそれぞれ担当している。
主演ほ、アメリカから「ピクニック」のウイリアム・ホールデン、英国より「白鳥」等の名優アレック・ギネス、「ピラミッド」のジャック・ホ一キンス、日本より早川雪洲という多彩な顔ぶれをそろえている。
総天然色・シネマスコープ。サム・スビーゲル・プロダクション製作になる一九五七年度コロムビア映画作品。
|