[解説]
「プラトーン」で、アカデミー助演男優賞候補になり、一躍、スターダムにのぽった演技派スター、ウィレム・デフォーが、イライアス軍曹のキャラクターを、さらに発展させてベトナム戦争下のサイゴンを舞台に名演技を見せるアクション・ミステリーの話題作。
今回は、陸軍犯罪調査分遣隊(CID)サイゴン支部に配属された私服警官バック・マクグリフが、デフォーの役で、戦争犯罪の現場が最前線ばかりではないことを、彼は犯罪捜査を通して体験する。
事件は、サイゴンの売春街で6人の娼婦が残虐な手口で殺されるという猟奇連続殺人に始まる。バックは相棒の黒人警官アルベビーと組んで事件の捜査にあたるが、容疑者としてアメリカ軍の将校が浮かびあがってくる。しかも被害者についてくわしい美しいカソリックの尼僧が、バックの前に出現しふたりは心をひかれあっていく。
ベトナム民衆たちのアメリカ人への敵意と暴動が起こり、ナマナマしい現実をリアルに描き、ネオンの売春街からケサンの戦場へ、ベトコンのひそむ地下組織へと、2人の刑事がたどる、犯罪捜査過程で、ベトナム戦争の惨劇が浮き彫りにされる。
ベトナム映画ブームのなかでも、これまで描かれなかつた新しい視点で、現実を深くとらえ、「プラトーン」「フルメタル・ジャケット」についで世界各国で高い評価を受けている。
アルベビーを演じるのは、「コットンクラブ」「ホワイト・ナイツ/白夜」のグレゴリー・ハインズ。尼僧ニコルは「オックスフォード・ブルース」の新進美人女優アマンダ・ペイズ。CIDの皮肉屋の一等曹長ディックスは、「レモ/第一の挑戦」で主役をやったフレッド・ウォード。殺人容疑を受ける大佐に「ライトスタッフ」「シルバラード」のスコット・グレン。
ベトナムの警察官に「ラスト・エンペラー」に出演しているシンガポール出身のケイ・トン・リム。元CID捜査官の中尉にテレビ「こちらブルームーン探偵社」などのレイモンド・オコナーが共演している。
監督のクリストファー・クローは、脚本家出身の新進で、これが初めての演出だがダイナミックな迫力ある作品に仕あげている。
クローと共同でオリジナル脚本を書いたのは、「シティヒート」などに脇役出演し俳優からシナリオ・ライターになったジャック・ティボー。
製作のアラン・バーネットは、テレビの「ヒッチコック劇場」などを手がけたベテラン。「女と男の名誉」「スタンド・バイ・ミー」のデニス・ワシントンが、プロダクション・デザイナーとして起用され、撮影はデイビッド・グリブル、音楽はジェームズ・ニュートン・ハワードが担当。
ロケーションはバンコックで行われ、51日間の撮影をへて完成された。
GIたちが女を買うサイゴンのトゥド通りは、ライブ・ショーを見せる酒場が50軒以上並ぶ“バットボン”と呼ばれるバンコックの歓楽街が使われ、世界的に有名なオリエンタル・ホテルに隣接した美しいカソリック学院と修道院。バンコックから1時間半ほどの北にあるナコム・・バソムという町では、ベトコンのテロリストにバックたちが追いつめられての乱闘シーンが、タイ人のエキストラを集めて撮影された。
バタヤ・ピーチのはずれの小さな集落は、ケサンの戦闘シーンの舞台となり、「プラトーン」などに劣らない迫真のアクションが描かれる。 |