[解説]
「禁じられた遊び」「わんぱく戦争」を製作したフランス映画界が、また新しい感覚で少年、少女を主人公にした作品を発表した。
第二次大戦下、1941年のフランス、パリ。ドイツ占領下にあるこの地を逃がれ、ニースの近くにあり、まだドイツ軍によって占領されていない地中海沿いの美しい観光地マントンに12歳の兄モーリスとやってきた10歳のジョセフ。まだあどけないが利発で可愛い顔の彼は、やや大人っぽく、しっかりした兄モーリスと二人で家族のもとをはなれてパリを後にした。猛威をふるうナチス・ドイツ軍、熾烈なユダヤ人狩り、日に日に人々の自由が逼迫する暗い時代であったが、小さな赤いビー玉の世界のような無邪気な少年たちの心は、少しも束縛されることなく、のびのびと彼らの自由に生きるのだった。肉親との別れ、田舎町の学園生活、ナチの検束、そしてほのかに芽ばえる小さな恋──
この映画は、厳しい戦時下に明るく力強く生きぬく少年たちの一家を中心に、いかなる世の中でも陽気に笑い、眼を輝かせて生きる人々の姿をフランス映画伝統の映画美で描く涙と笑いの感動の名篇である。
主人公ジョセフには、一〇〇名近い候補者の中でも選び出せず偶然監督の目にとまったリシャール・コンスタンティーニ、兄モーリスに「大人は判ってくれない」が大好きだというポール=エリック・シェルマン、ジョセフの幼い恋人フランソワーズにドミニク・デュクロ──とズブの素人が出演、この三人が素晴しく新鮮な演技を見せてくれる。
他に「ポリー・マグーお前は誰だ」「告白」のベテラン、ミシェル・ロバン、ジョセフ・コルデンベルク、レーヌ・バルテブらベテランが脇を固めている。
監督・脚本は今年32歳のジャック・ドワロンで、アラン・ロブ・グリエ、「爪と牙」のミシェル・ファーノらと親交が厚く、〈ヌーベル・バーグ〉以後のフランス映画界を担う期待の若手の俊才監督である。共同脚本は友人のドニーズ・フェラリス。
原作は七三年に出版され、50万部売りつくし、大ベストセラー小説となったジョセフ・ジョッフォの自伝『一袋のビー玉』。製作会社は「クレイジー・ボーイ」シリーズを手がけてきたレン・プロダクション。撮影を新人イブ・ラファイエ。音楽を今やフランス映画音楽の売れっ子フィリップ・サルド。過去の代表作には「ひきしお」「暗黒街のふたり」「離愁」「愛人関係」などがある。 |