[解説]
500キロの上空からマッチ箱が写せるという超高性のイギリス製カメラと、超感度のアメリカ製16ミリ・フィルムを載せて、ソ連の人工衛星が地球を回
っている。
この事件の発端は、一見いかにも国際協調的だが、このカメラもフィルムも、ソ連が盗み出したものだ。しかもこの衛星は、日に7回アメリカの上空を飛んで、軌道上から同国のミサイル基地を撮影し続けている。
だが、無心なカメラは、軌道の関係で、ソ連のミサイル基地をも、同じように撮影し続けているのだ。そこで、このフィルムの回収をめぐり、一触即発の戦争の危険をもはらむ、し烈な米ソの斗争が、必然的に起こって来る。
衛星操作の手違いから、ソ連は、問題のフィルムを、北極の氷原上に設営されたイギリスの気象観測基地で回収しなければならなくなって、基地は、時ならぬ火災や爆発のため、全滅の危機にさらされる。観測隊員救出に名を借り、アメリカの原子力潜水艦が、氷原の下をくぐって海から現地に急行すれば、ソ連は、天候の回復を待って、ジェット機の編隊を発進させる。
何としても、あのフィルムは渡せない。この双方の執念は、民間の学術的気象観測基地を、全面戦争の危険をはらむ、恐るべき斗争のるつぼと化してしまう。
原作は、「ナバロンの要塞」を書いたアリステア・マクリーンの世界的ベストセラー小説で、「ダンディー少佐」のハリー・ジュリアン・フィンクが、まず映画用のストーリーにし、「ボージェスト」のダグラス・ヘイズが脚色した。監督は、「墓石と決斗」「大脱走」「OK牧場の決斗」など、緊迫とスリルのアクション物を得意とする巨匠ジョン・スタージェスである。
撮影監督は、「ウェスト・サイド物語」「大脱走」などの名手ダニエル・L・ファップで、北極圏での撮影には、ジョン・M・スティーブンスとネルソン・タイラーが当った。音楽は「今宵かぎりの恋」「華麗なる賭け」などのミシェル・ルグランである。
主な出演者は、「トブルク戦線」「目かくし」などのロック・ハドソン、「特攻大作戦」「砦のガンベルト」などのアーネスト・ボーグナイン、「まぼろし密輸団」「トマシーナの三つの生命」などのイギリス俳優パトリック・マッグーハン、「戦争プロフェショナル」「特攻大作戦」などのジム・ブラウンらをはじめ、「地球を盗む男」のトニー・ビル、「ダブルマン」のロイド・ノーラン、スウェーデン生れのアルフ・チェリン、「冷血」のジェラルド・S・オラフリン、「歩け走るな!」のテッド・ハートリー、オリンピックの水泳選手だったマーレイ・ローズなど、オール男性陣である。
「いそしぎ」「シンシナティ・キッド」などのマーティン・ランソホフが製作に当った1968年度フィルムウェイズ・MGMの、メトロカラー・超ステレオ音響のシネラマ作品である。 |