[解説]
灼熱の砂漠を舞台にくり広げられるアクションとミステリー。「ボー・ジェスト」の冒険物語は娯楽映画のかっこうの素材として過去3回映画化された(26・39・66年)。最も有名なのはゲーリー・クーパーが主演した39年のウイリアム・ウエルマン作品で、今は懐しいクラシック映画の名作だ。
さて「ボー・ジェスト最後の映画化」と原題で謳われている今回の「ボー・ジェスト」は前3作とはちょっと毛色が違う。とにかく企画・脚色・監督・主演があのギョロ目を売物とするマーティ・フェルドマンなのだ。もともとコメディ・ライターだったが、役者に職域を広げ今回はカメラの前後両方に立ってハリウッド映画のクラシック「ボー・ジェスト」を、ドタバタどころかチャカメチャな手さばきで料理している。まさに冗談は彼の顔だけではなかった。最初から最後まで聞いて笑い、見てふきだす。セリフとアクションの両面からこれほどおかしく迫ってくる喜劇映画はメッタにない。
マジメ版「ボー・ジェスト」の売物のひとつはオールスター・キャストだったが今作はその点でも前作に劣るものではない。二枚目ボー・ジェストに扮するのはいつも二枚目のマイケル・ヨーク(2300年未来への旅)。二枚目とはほど遠いその双児の兄弟をフェルドマンが演じ、アン・マークレット(名探偵再登場)が二人の継母としてあでやかに登場する。その他、ピーター・ユスティノフ(2300年未来への旅)、トレバー・ハワード(ライアンの娘)、ジェームズ・アール・ジョーンズ(ボクサー)、テリー・トーマス(素晴らしきヒコーキ野郎)など、芸達者な曲者役者たちがハメを外して笑いを大サービス。
そして、そしてですぞ、この映画を2倍、いやいや3倍以上にするお楽しみは、ナ・ナント!すぺしぁる・げすと・すたあに故人ゲーリー・クーパーが出演しているのです。どんな登場の仕方をするかは観てのお楽しみ。
撮影はスペイン・ロケが中心となったが、マドリッド滞在中へ肝心のフェルドマンが水疱瘡にかかってスケジュールは数週間オーバー。ようやく全身の吹出物が完治した時、あの飛び出た目玉はそのままでホッと一安心したとか……ン?
これが「最後のボー・ジェスト」になるかどうかはともかく「最もおかしくて楽しいボー・ジュスト」であることは保証つきである。 |