[解説]
“マッシュ”につぐ“キャッシュ”!
痛烈なブラック・ユーモアで描く戦争コメディの傑作!
──アメリカ陸軍による一切の協力なしで作られた──この映画は、戦争の狂気と強烈な体制批判で貰ぬかれたカンヌ映画祭グランプリ受賞作品「マッシュ」から7年経った今、前作同様エリオット・グールド主演で、軍隊と細菌ガス戦争を徹底的に風刺した、異色のブラック・コメディ・アドベンチャ映画である。
ストーリーは、アメリカ陸軍にある、秘密細菌ガス兵器実験場を舞台に、最新ガスのモルモットとして15年間人体実験された男の、あまりにも悲しく馬鹿々々しい、陸軍嘲笑物語である。美しい恋人とのデートも、実験で珍棒がインポになってから役立ず仕舞い。その上非情にも、御粗末な涙金で除隊処分の浮目にさらされ、社会人としてもやることなすこと頓珍漢、失敗の連続。そんな時、旧友の強盗犯とめぐり逢ってからというもの、百八十度大転換のキャッシュ作戦を実行に移す。怨みつらみのたけを陸軍相手に、それこそ奇想天外、珍妙無類、一大市街襲撃作戦を展開してゆくという、まさに抱腹絶倒の異色戦争映画である。
主人公のフラッパー一等兵には、存在感のある絶妙の演技で定評のあるエリオッ ト・グールドが扮し、サスペンス、泥棒アクションそして映画史上最もおかしな役を熱演している。
いよいよ77年に公開される戦争超大作『遠すぎた橋』での演技も楽しみだ。恋人役スコッティ・ハラム中尉に、「おもいでの夏」のエレガントな美貌に加え、お色気を増し濃艶に迫るモデル出身のジェニファー・オニール。鬼連隊長ロッキアーに「ロンゲスト・ヤード」「ハッスル」など名パイプレヤーとして大活躍のエディー・アルバート。「エンテベの勝利」で急死したゴドフリー・ケンブリッジや、ハリー・ガーディーノ等が脇を固めている。
監督には、続篇を作らせたら右に出る者がいないと言われ、74年度屈指のヒット映画「ダーティ・ハリー2」のテッド・ポストがあたっている。脚本にマルコム・マーモスティンが担当し、一九一五年にドイツ軍が、イプレスの戦いで大量の毒ガスを使用した実活からヒントを得て書き上げた。又ロケーションにはユタ州ソーエル陸軍基地とダグウェイ実験場の近くで行なわれ、基地内では映画通りの化学兵器の実験がされているという。決してこの映画は絵空事でない、身近かなブラック・ユーモアなのだという、製作にジョージ・バリーがあたり「ウィークエンド・ラブ」等をプロデュース、かつケーリー・グラントが重役の一人でもある化粧品会社の代表でもあり、敏腕ぶりを発揮している。この映画では多才ぶりを発揮し自ら歌も唄っている。音楽をジョン・キャメロン、撮影はデビッド・ウォルシュがそれぞれ担当している。 |