[パンフレット] 353作品

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解説、プロダクションノートはパンフレットの表記そのままで掲載していますので誤字・脱字・旧字・旧仮名づかい等があります。ご了承下さい。

<タ行>

第17捕虜収容所
第27囚人戦車隊
第五戦線 遠い道
第7の暁
第8ジェット戦闘機隊
第八高地突撃隊
体当り突撃隊
タイガーランド
大進撃
大侵略
大戦争
大地と自由
大突撃
大反撃
太平洋紅に染まる時
太平洋の地獄
大編隊
太陽にかける橋 ペーパー・タイガー
太陽の帝国
戦う雷鳥師団
脱走山脈
脱走兵
小さな赤いビー玉
地下水道
地下組織
地上最大の脱出作戦
チャップリンの独裁者(2種類)
追撃機(2種類)
追想
ツェッペリン
ティアーズ・オブ・ザ・サン
ディア・アメリカ 戦場からの手紙
ディア・ハンター
抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より
抵抗の詩
デルタ・フォース
テレマークの要塞
道中の点検
遠い道
遠すぎた橋
トコリの橋
ドッグ・ソルジャー
特攻決死隊
特攻決戦隊
特攻大作戦
トップ・ガン
友よ、風に抱かれて
渡洋爆撃隊
トラ トラ トラ!
捕えられた伍長
トリプルクロス

 

トリプルクロス

1967年4月発行
A4版20P

[解説]

 イギリス秘密情報部員007号ことジェームス・ボンドの登場以来、世界の映画は次々とスクリーンに凄腕スパイを登場させ、時ならぬスパイ・アクション・ブームをつくり上げてしまったが、その真打ちともいうべき存在としてここにあらわれたのがこの映画の主人公エディ・チャップマンである。
 金庫破りの罪で入牢中をドイツ軍から目をつけられ、職業スパイの訓練を受けて彼らの仕事を手伝う一方、ひそかにフランスのレジスタンス運動にも一肌ぬぎ、なかば強制的に引っぱりこまれたイギリス軍のためにドイツ側の内部事情の逆スパイに活躍して、第二次大戦を連合軍の勝利へみちびくのに陰ながら大きな功績を残したチャップマンは実在の人物で、そのドラマチックな体験談は"事実は小説よりも奇なり"の言葉をそのまま実証してみせたような奇抜さだが、それを本にしたフランク・オーエンの原作を映画化するにあたって監督にテレンス・ヤングを選んだことが、この作品を第一級アクションに仕上げる最大の原因となった。テレンス・ヤングが、007シリーズ第一作「殺しの番号」、第二作「危機一発」、第四作「サンダーボール作戦」の監督で、世界的なスパイ・ブームの火つけ役だったことはすでにご存じだろう。
 出演陣も異色揃いで、「サウンド・オブ・ミュージック」で大いに株価を上げたクリストファー・プラマー、「王様と私」のユル・ブリンナー、「サンダーボール作戦」でスターダムにのし上ったクローディーヌ・オージェをかこんで、「枢機卿」のロミー・シュナイダー、「007/ゴールドフィンガー」「パリは燃えているか」のケルト・フレーベ、「悪のシンフォニー」のトレバー・ハワード、「恋人たち」のジョン・マルク・ボリーなど米・独・英・仏の演技派たちが芸をきそっている。
 製作はフレッド・フェルドカンプ、脚色はルネ・アルディ、撮影は「レディL」のアンリ・アルカン、音楽は「皆殺しのバラード」、「盗みのテクニック」のジョルジュ・ガルバランツ。
 また、第二次大戦末期、敗色濃いナチス・ドイツが起死回生の新兵器として持ちだして、イギリスを恐怖のドン底にたたきこんだロケット弾V1号、V2号が、ドラマの中で大きな役割を果しているのも見おとせないところである。

[プロダクション・ノート]

◆監督のテレンス・ヤングが、この実話の映画化権を買い取ったのは今から二〇年前。当時のお金で一千万円、そのすぐあとでヒッチコックが五千万円という条件をひっさげてチャップマンに会いにいったが、あとのまつり、全く無名に近かったテレンス・ヤングは、五〇億円はかかる製作費のために今日まで映画化出来なかったのだが、ついに念願を果した彼は自信を持って「五年に一度でるかでないかの娯楽性にとんだ大作に仕上げた」と語っている。
◆この映画のモデルとなったエディ・チャップマンは、実在の人物で、強盗から刑務所入り、そしてドイツ軍に売り込んでスパイとして英国に潜入する一方、英国に協力して逆スパイをやったり、レジスタンスに手を貸したり、まさにスーパー・スパイといったところ。女性関係も十指にあまる程だが、今では故国の英国でコットウ店をやっている。しかし、つねに危険を求める彼のことだから、いつCIAの声がかかるか判らない。
◆あまりにも売れっ子のスターを集めたせいか、クローディーヌ・オージェは、もう一本のワーナー映画を撮っているので週に四回もパリとローマの間を往復して、あげくの果てに空港で税関におどろかれたそうだ。もう一人、クリストファー・プラマーは、同じパリで撮影していた「将軍たちの夜」にロンメル将軍の役で出演していたため、何十回もいったりきたりして大忙し。パリでは「将軍たちの夜」「パリは燃えているか」も同時に進行していたため当時のナチの軍服やジープは、どこでも不足。そこで担当者たちは協定を設けて、戦斗機をかしてくれれば軍服一中隊分をかすというぐあいに貸したり借りたつしたというはなし。
◆凝りに凝ったテレンス・ヤング監督は、大戦当時にも数少いディーンステラ製のドイツ軍の軍服や、プレイヤーズというタバコの箱や、現在、七機しか残っていないスピットファイヤー機を四機借りたりして映画に迫真感を出している。
◆クリストファー・プラマーとロミー・シュナイダーが全裸で演ずるベッド・シーンに使われたベッドは、時価三千万円の十七世紀の芸術家ベルナール・モリトールの作品で、当時、浮き名を流したプレイガール、アン・ド・ランクロスが愛用したと言われている。
◆クリストファー・プラマーと濃厚なベッド・シーンを演ずるロミー・シュナイダーは、撮影に入って三日後に結婚したばかり。お相手は、この映画でドイツ軍中尉に扮するハリー・メーエンだが、彼が二人の寝室へ拳銃片手に押し入るシーンは、何回とってもNGの連続。スタッフ一同無理もないと言いながらも笑いをこらえ切れず、哀れなハリー・メーエンは、髪の色がすっかり灰色にかわってしまったそうだ。
◆テレンス・ヤング監督は、英国人では珍らしく紅茶嫌い、休憩時間にはシャンペンを必ず三杯は飲むそうだ。彼は、有名なプレイ・ボーイでもあり、特に服装とか持ち物に金をかけるのは惜しまない。今では、すっかりテレンス・ヤング監督の親友となったエディ・チャップマンは二十年前はじめて会った時を振り返って「彼は昔から趣味のいい男でしたよ、何事にもね」と語っている。
◆この映画でエディ・チャップマンに扮したかった俳優は多かった。ケーリー・グランド、リチャード・バートン、ローレンス・ハーベイをはじめ十人以上が申し込んだが、あらゆる点を考慮したテレンス・ヤング監督はクリストファー・プラマーに白羽の矢をたてた。このクリストファー・プラマーを評して英国の名優ローレンス・オリビエは「プラマーは、私とリチャード・バートンを足して二で割ったような男だな」といっている。しかし、オリビエにしてもバートンにしても、プラマーのようにニースの海岸で女の子に取り巻かれるような魅力はないだろう。「トリプルクロス」のタフな悪党ぶりが女の子たちをシビれさせたようだ。
◆ワーナー・ブラザース映画で配給されたこの映画は、驚いたことにスタッフ、キャスト総てを含めて純粋なアメリカ人は二人しかいない。台本助手のウィリアム・マーチャントと、製作のフレッド・フェルドカンプだけで、あとは正に国際的という言葉にふさわしく、クリストファー・プラマーはカナダ人。ロミー・シュナイダーはオーストリア人。ケルト・フレーべはドイツ人。トレバー・ハワードはセイロン生まれのイギリス人。クローディーヌ・オージェはフランス人。ユル・ブリンナーは、カラフト生まれでアジアの血が混っている。テレンス・ヤング監督は、上海生まれのイギリス人といったぐあい。