[解説]
去る4月、大阪で開催された万博国際映画祭に出品され、絶賛の嵐を浴びた話題の名籍である。
第二次大戦さなかの1941年、ユーゴのクラグエバッツの町で実際に起きた物語の映画化で、おそらく涙なしでは見られない悲惨な事件をクライマックスにしている。
主人公は十数名の子どもたちだ。ドイツ軍に町を占領されたため、おとなたちは強制労働にかり出されて、苛酷な食糧配給が実施され、育ちざかりの子どもたちにはとてもつらい。ドイツ軍からかっばらいをしたり、靴みがきをしたりするさまが、笑いをまじえで愉快につづられていく前半。
しかし、レジスタンスの青年たちがドイツ兵を殺したため、反対にドイツ兵によって住民が大量虐殺され、子どもたちもまた銃火に倒れていくクライマックス・シーンは、あまりにもむごたらしい。
笑いと涙、ハーモニカの美しいメロディーと詩的な描写にみちた物語のうちに、子どもたちの夢を破った戦争に対するはげしい怒りを、いまさらのようにおぼえずにはいられないだろう。
脚本・監督のドーリ・ヤンコビッチはことし36歳の新人監督。ユーゴ演劇アカデミー卒業後、俳優、脚本家として活躍後、この「抵抗の詩」ではじめて監督を手がけた。去る4月万博映画祭出席のため来日している。
主人公の子どもたちは、ただ1人の少女ヒーラ役のゾリカ・ミロバノビッチをのぞいて、いずれもこの映画のために多くの候補者のなかから選ばれた小、中学生。他に、「ネレトバの戦い」「ジプシーの唄をきいた」などの名優バタ・ジボイノビッチが特別出演している。
近年躍進いちじるしいユーゴ映画界の気鋭の一作として、多くの感動をあつめるだろう。 |