[解説]
カロライナ陸軍士官学校──祖国を守る礎となる“男”を創りあげるため、鉄の規律と苛酷な校則では他に類を見ない伝統の校風。威風堂々とそびえ立つこの士官学校の隠された“暗部”を知った、卒業間近のエリート士官は、義噴を込めて反逆ののろしをあげてゆく。
その“暗部”とは、「テン」と呼ばれる秘密グループ。この伝統の士官学校を汚すような憶病者や黒人の新入生に狙いをつけ、様々ないやがらせ、脅迫、そして実力行使を加え、それでも屈しなければ“穴倉” と呼ばれる部屋に連行し理不尽な拷問を加え、退校を承諾させるという闇のサディスト集団だった。
この「テン」の標的の犠牲者が遂に出る。肥満体の新入生ポティは、「テン」の度重なる脅迫に錯乱し、校舎の屋上から転落死した。次の標的は、黒人のピアースだ。唯一の黒人新人生である彼を、「テン」は許さなかった。薄汚ニガーが栄光の士官服を身につけるなど言語道断というわけだ。
カロライナ士官学校の格式と名答を守るためには手段を選ばない。これが、永年に渡ってこの士官学校の陰で暗躍する「テン」の狂気の碇なのだ。
「テン」を操るのは一体何者なのか!
正義感に燃え、人間としての情もあるエリート士官候補生ウィルは、この「テン」の存在を苦々しく思う大佐の命を受けて、黒人新入生ピアースを陰となって守ってゆき、「テン」の実態をつきとめ、この闇のグルーブの根絶をはかるべく、卒業まじかに事を荒だてることはないという打算を排除し、虎にも似た行動を開始する。
義噴に燃える硬派ヒーローが、保守と封建性のはびこる巨大な士官学校の悪に敢然と挑む。旧軍隊にも似た凄絶な新兵いびりの描写の連続、格式ある士官学校の数々のセレモニー、そして意外な展開を観せるサスペンスフルなストーリーは、みる者を大いに惹きつける。
主演の士官候補生ウィルに扮するのは、「愛と青春の旅立ち」でリチャード・ギアの親友役で、自ら生命を絶つ悲劇的な最期を印象的に演じ、若手有望株筆頭に踊り出たデビッド・キース。今回もまた士官候補生役だが、なるほどピタリの適役だ。歪んだ体制に意志と闘志で立ち向かう“男の美学”を見事に体現し、併わせて“男の成長ドラマ”の主人公を堂々とこなしている。
他に「地獄の黙示録」のG・D・スプラッドリン、舞台出身のロバート・プロス
キー、バーバラ・バブコック、マイケル・ビーンなどの演技派がガッチリ固めている。
原作はパット・コンロイのベストセラー小説。これを「さらば青春の光」で注目を浴びたイギリスの鬼才フランク・ロッダム。その叩きつけるような力強い作風は今回も十分に発揮され、女っ気のほとんどない男の世界の中で展開される謎と恐怖、衝撃と興奮、ユーモアと詩情を確かな演出力で、醸し出している。
士官学校の壮厳だが不気味な雰囲気を映し出す撮影は「ヘビー・メタル」のブライアン・テュフアーノ。 士官候補生の様々な制服に凝りまくる衣装を「ガンジ
ー」のジョン・モロー。キリリと引き締った編集は「スーパーマン」のマイケル・エリス。そして“ムーン・リバー”“マイウェイ”などのヒット曲をちりばめ60年代前半のムードを良く伝えている音楽をハワード・ブレイクが担当している。
超一流のスタッフと気鋭のキャストで魅せる、鉄の規律の男たちの激烈な闘争ドラマの力作である。 |