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シン・レッド・ライン平成11年4月10日発行発行所:松竹株式会社事業部 発行承認:パイオニアLDC・松竹富士 定価600円 A4版32P |
[解説]74年にスタークエーザー事件を映画化した『バッドランズ』。78年にカンヌとアカデミーを完全制覇した『天国の日々』。この2本の作品を監督し、まさに頂点を極めたその時に映画界から忽然と姿を消した幻の映画監督、テレンス・マリック。この謎に包まれた映像作家が、20年いう時を経て新作『シン・レッド・ライン』で奇跡の復活を果たした。これは世界中のすべての人が待ち望んだ99年の、いや20世紀最大の映画的事件である。「シン・レッド・ライン」-人間の正気と狂気の間を隔てる1本の細く赤い線…。1942年11月。アメリカ軍と日本軍は、太平洋戦争の歴史の中でも、最も激烈と言われるガダルカナル海戦に突入した。度重なる海上戦と陸地での激烈な攻防戦。数メートル進むだけで多くの命が失われる最前線は、爆風と悲鳴と怒号に包まれるが、ひとたび目を転じれば悠久の大自然は変わらぬ営みを続けている。 人間とは、戦争とは、生命とは、神の存在とは・・・。 物語は、前線から逃亡した一等兵のウィットが、戦友たちのために再び戦場へと帰還するシーンからスタートする。そこで彼が見たものは、多くの名もない兵士たちが、ただ戦い死んでいくだけの現実だった。戦うことの意味を探し、過去への想いにかられる兵士たちは、1人また1人と『シン・レッド・ライン』を踏み越えていく。そして、その先でウィットが、そして兵士たちが見たものとは…。 「善と悪が明確だった最後の戦争」と言われる第二次世界大戦。だが50年を経過して、その定説はくつがえされようとしている。「シン・レッド・ライン」とはまさに歴史に挑んだ意欲作なのである。 「復活を待っていた」と祝福するスピルバーグ監督の言葉通り、長すぎる沈黙を破ってマリックが再び映画を監督するという話を聞きつけて、ショーン・ペン、ジョン・トラボルタ、ジョージ・クルーニー、ニック・ノルティ、ジョン・キューザック、エリアス・コーティアス、ジョン・サヴェージら超一流のトップスターたちが出演を志願し、その復帰を歓迎した。また、唯一の女性キャストとして『ラブ・セレナーデ』『女と女と井戸の中』のミランダ・オットーが出演している。 撮影監督には『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき戦い』と『ブレイブハート』でアカデミー撮影賞を受賞したジョン・トールを迎え、熱帯の悲しくも美しい風景を描くことに成功した。さらにその映像をはるかにしのぐほどの素晴らしい音楽は『ライオン・キング』でアカデミー最優秀オリジナル音楽賞を受賞したハンス・ジマー。主題曲の音色あふれる豊かな合唱が、生きることの喜びを高らかに謳いあげる一方、殺戮の風景にふさわしい緊張感を画面に呼びこんでいる。 撮影にあたっては6ヶ月に渡りオーストラリアとソロモン諸島で現地ロケを敢行し、戦争風景と同時に、メラネシア系原住民の生活風景を撮影した。そうして獲得した映像は、自然やそこで生きる人々の姿と、その土地に近代兵器で武装した兵士たちが侵攻し、森や草原を焼き尽くして殺し合いを繰り広げるありさまを痛烈に対比させている。なかでも草をなびかせて風がふきわたり、雲の影が生き物のように大地を流れていく美しい風景の中で繰り広げられる激しい戦闘シーンは、観客の心に深い悲しみを募らせ、溢れるような涙を誘い出す。 『フルメタル・ジャケット』の狂気、『プライベート・ライアン』のリアリズム、『地獄の黙示録』の興奮。そのすべてを凌駕しているのが、この『シン・レッド・ライン』である。そして、今世紀を代表するこの作品は、観る者すべての魂を揺さぶり、再び歴史に「テレンス・マリック」の名を刻みつける永遠の名作と言えるだろう。 |
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[プロダクション・ノート]20年にも渡る謎の不在から再びマリックがディレクターズ・チェアと戻ってきたのは、ジェームズ・ジョーンズの原作小説への強い愛着があったからにほかならない。1988年、マリックは製作者のロバート・マイケル・ガイスラーとジョン・ロバルデューに脚本化のアイディアを提案。戦争文学の傑作と評される原作にマリックが施した脚色には、素朴な荒野に傷跡を残す重火器による近代戦、自然と穏やかに共生するメラネシア住民に襲いかかる破壊力といった自然科学・人類学的環境に対する強い意識が盛り込まれたものだった。マリックの提案を受けたガイスラーとロバルデューは早速、原作者の未亡人と接触し映画化権を取得。さらにマリックの友人のフェニック・スピクチャーズ会長マイク・メダヴォと、当時『タイタニック』の製作に携わっていたグラント・ヒルが製作参加を快諾し、世紀の記念碑的大作はスタートを切った。なおジョーンズの同名小説は、64年に「大突撃」のタイトルで一度映画化されている。監督はアンドリュー・マートン。ショーン・ペンが扮するウェルシュ軍曹役をジャック・ウォーデンが演じていた。 当初メガホンを執る意志は無かったマリックが監督を決意するに至った背景には、旧知のスタッフがこのプロジェクトに喜んで参加を申し出たことが大きく関係している。プロダクション・デザイナーのジャック・フィスク、編集のビリー・ウェバー、キャスティング・ディレクターのダイアン・クリッテンデンらはマリックの過去2作「バッドランズ」「天国の日々」のスタッフでもある。20年振りにマリックと再会を果たしたジャック・フィスクは「テレンスが映画を作ると聞いて、他の誰かがデザインを手掛けるかと思うと私は嫉妬した。」と本作への強い想いを語っている。さらにこのチームには、撮影ジョン・トール、音楽ハンス・ジマーというオスカー常連の最強スタッフが加わることになる。 1997年6月23日に撮影開始。その多くはガダルカナル島と地形・植生が似ているオーストラリア・クイーンズランド州で行われた。草原の戦闘シーンを維持するため、美術スタッフは5ヶ月もの間、草を育て続けた。しかし近くに牧場があるこの地では特別な要求が強いられた。「我々は絶えず牛達を隠し、彼らが“セット”を食べるのを防がなければならなかった。」と、ジャック・フィスクは回顧する。美術スタッフのチャレンジはそれだけではない。過去の衣装・小道具が不足していたため、彼らは7機の飛行機、2,000着の軍服、ライフル、テントさらには臨時滑走路、農園までもを含むあらゆるものを一から作り上げたのだ。 |
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