| [解説]
残酷ものをお家芸とするイタリア映画界が「サスペリア」 「ゾンビ」「サンゲリア」に続き、またしてもおぞましいスーパー残酷映画を仕立てあげた。ベトナムの戦場でカニバリズム(人肉嗜好)にとりつかれた二人の兵士が帰還後、忌わしい記憶から逃がれようとしながらも人肉の味が忘れられず、おいしそうな人間の生肉をもとめて大都会を彷徨する。彼らに襲撃された人間は次々と食人鬼と化し、幾何級数的に増大し、大都会は血なまぐさい地獄絵図となっていく。
男が女の乳房をむさぼり食い、女が男の舌を噛みちぎる。電動ドリルが捻りをあげて太腿にくいこみ、鮮血と肉片がとびちり、みしみしと骨が砕ける。雨のような弾丸がドテッ腹の臓物を吹っとばし文字通り風穴があき、むこうの景色が見える……。
想像しうるかぎりのあらゆる残酷がのべつまくなしにスクリーンを朱に染め、見る者を否応なしに“地獄の謝肉祭”へとひきずりこんでいく。
惨劇のはじまりは硝煙たちこめるベトナムの戦場だった。トミーとチャーリーはベトコンが仕掛けた落とし穴に落ち、雨水以外もう幾日も食物を口にしていなかった。味方のジャングル掃討が激しさを増したある日、ベトコンの女兵士が火だるまになって二人のいる穴に転げ落ちてきた。トミーとチャーリーは飢えたハイエナの如く女にとびつき服をひき裂き肉を、内臓をむさぼり食った。またたくまに女の体はくずれ白骨が露出した。二人を見つけ救出しようと手を差しのべた上官のノーマン大尉も、凄惨な光景に唖然とする間もなく腕を噛まれた。
戦後、悪夢から逃がれるようにチャーリーとトミーは精神病院に入り、ノーマンは美人の妻と大都会の片隅にひっそりと暮らしていた。しかし、チャーリーに外出許可が出たある日、想像を絶する第2の惨劇の幕が切っておとされた。映画館のなかでチャーリーの人肉嗜好が突然鎌首をもたげ、自分の前にいた若い女の首に喰らいついたのだ。チャーリーは自分をとり押えようとする人の誰彼かまわず噛みついた。一方、ノーマンは冷蔵庫にある生肉を見ると異様に興奮する自分に標然とした。それから間もなく大都会にカニバリズムが伝染病のごとく蔓延し、街に食人鬼がくり出し、その中にノーマンの姿もあった。
監督はイタリア映画界を代表するベテラン、アンソニー・M・ドーソン。主人公のノーマン大尉には好漢ジョン・サクソンが扮している。
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